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「 Topical 」
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Barack Obamaが、この週末に行われた計4つの州(ルイジアナ、ネブラスカ、ワシントン、メーン)の予備選・党員集会すべてにおいて勝利した。
ばらつきはあるが、対抗馬のClintonに対して、概ね6:4で勝利している。
民主党は代議員数を獲得票数で比例配分するので、100%開票が終わらないと確たる結果がわからないが、CNNの集計では、現時点の獲得代議員数は、Clintonの1,148に対して、Obamaは1,121と、着実に両者の差が縮まってきた。予備選で勝利し、民主党統一候補として指名されるには、2,025の代議員票が必要であり、まだレースは折り返し地点を過ぎたところだが、今のところ「流れ」はObamaにあるように感じる。辻辻で見かける草の根支持者もそう感じさせる一つの要素だが、何より、ここ最近の選挙資金獲得状況をめぐる両者の差は鮮明である。Clinton候補がここに来て寄付資金が尽き、巨額の自己資産を投入せざるを得なくなっている一方で、Obama候補は1月だけで過去最高の34億円の寄付を草の根支持者を中心に吸い上げ、2月に入ってもその資金獲得の勢いは衰えない。

Obamaの何が、人々をひきつけるのか。
理由は様々だろうが、彼の演説力が大きく寄与していることは間違いないだろう。
連日テレビで放送され、YouTubeなどでも流れているので目にすることは多いが、巧い。確実に、人をひきつける。両党の候補者の中で、一番巧いだろう。声の抑揚、テンポの変化、間のとり方、表情の作り方(とくにシリアスな表情にときどきみせる笑顔のタイミングと爽やかさ!)は、予備選が始まってから更に磨きがかかり、宗教的なオーラすら感じるときがある。
あれは、凄い。
余人をもって替えがたい。

もっとも、演説の中身は、はっきりいってスカスカである。
毎回、言うことは同じ。
施策として強調するのは、保険制度の充実、イラク戦争への批判、経済復興、そして「米国の希望を取り戻すこと」。
どうやってやるか、については、
"Yes we can"
"We want to believe"
で押し切る。
マクロ経済学の授業の中で、
「Populism(大衆主義)には二種類ある。右からのPopulismと左からのPopulismだ。前者は混乱の中で秩序と統制を訴え、後者は格差や貧困の中で富の再分配を訴える。それぞれに共通しているのは、ベストシナリオを訴え、方法を言わないことだ」
と習ったが、演説だけ聴いていると、彼は典型的な「左からのPopulism」である。
あのまま大統領をやったら、えらいことになりそうな気もする。
リスクの度合いとしては、大阪府の橋下新知事よりも大きいかもしれない。

しかし、見方を替えれば、方法を精緻に考え、提示する頭脳は、この国には沢山存在する。
稀有なのは、むしろこれをやりきる実行力と、国民をその方向に向けさせるある種のカリスマ性である。
これさえあれば、自分のできること、できないことを自覚し、不足をブレーンで補えばよいのだから、この時点で"How"を示す必要は、あまりないのかもしれない。
事実、Howにこだわり、具体的な方法や数字をパワーポイントを使ってまで説明した我らがRomney候補は、経済オンチなMcCainに大差をつけられ、見事に先日撤退してしまった。
小泉純一郎元首相も、Obama候補のタイプに極めて近い。賛否はいろいろあるが、今でも待望論がある元首相、という意味では、やはり稀有である。そしてその待望論は、彼に何か個別の課題の解決方法の提示を期待しているのではまったくなく、何となく「全体として」状況を打開してくれそうな、リーダーシップのイメージをあてにしている。

と、ここまで考えて、自分に置きなおしてみる。
演説はやったことがないが、Obama候補のような「人柄の魅力」はないし、方法を脇においてヴィジョンを語れる発想力、度量、話術もない。どうしても、目が"How"に行ってしまう。逆に、Obama候補のようなリーダーがいて、自分がその個人を尊敬できさえすれば、Howを作り上げ、実行のお膳立てをするのは、多少なりとも向いているように思う。
やはり、自分には一国一城の主ではなく、参謀的なキャリアが向いているようだ、という以前からの自己認識が、またここでもサポートされてしまう。

やっぱり、そうなのかなあ。。。

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今年の大統領選挙の各党候補者を決める上での天王山となるSuper Tuesdayの大勢が決した。

予備選あるいは党員集会が開かれた両党約20州のうち、現時点で勝者が明らかになっていないのは、それぞれ4州ずつ。
勝者が明らかになった州の合計では、民主党はClinton、共和党はMcCainがそれぞれ対立候補をリードしている。最大票田のカリフォルニア州がまだ開票作業中とはいえ、同州での現時点のトップはそれぞれ民主党Clinton、共和党McCainで、二位と20ポイント前後のギャップであるから、ほぼ逆転はないだろう。
対立候補との差は、昨日までに予備選・党員集会を終えた州の結果を加えると、さらに開く。民主党はまだ比較的僅差だが、共和党は通算一位のMcCainが二位のRomneyと三位のHuckabeeを加えたよりも多くの代議員数を獲得しているので、ほぼ勝負あった、という状況である。

Clinton vs McCain。。。
いみじくも、今日買い物帰りの車の中で、この顔合わせになったらサイアクやなあ、と妻と話していたとおりの顔ぶれである。
予備選のキャンペーンを通じて、この二人には共通していることがあったように思う。
それは、対立候補に比べて、他候補を批判するコメントや演説が多い、ということだ。
そんな二人が各党の統一候補となって戦おうものなら、どれほど無内容で醜い選挙戦になるか、考えたくもない。
特にMcCainのオッサンは、このところRomneyの批判ばかりしていたようだが、今頃Clintonのアラサガシを参謀に命じていることだろう。
もっとも、Romneyのこれへの対応方もdefensive過ぎたとは思うが、こうしたネガティブ・キャンペーンが功を奏して、実績などから客観的にみればどうみても共和党ではRomneyに軍配が上がるはずの経済問題について出さえ、McCainに支持が集まったというのだから、米国民の民意・民度に失望してしまう。結局、この日Romneyが勝ったのは、先日まで知事だったここマサチューセッツ州と、信仰するモルモン教の総本山であるユタ州を除けば、ミネソタ州、コロラド州、ノースダコタ州、モンタナ州と、いずれも党員数が極めて少ないマイナー州ばかりである。

エクセルで予算案を練り、パワーポイントスライドを使って施策説明をする、コンサルタント出身の大統領(Romneyのこと)を見たかったが、少なくともあと4年は待たなければならなそうである。

そして、他人の批判が大好き・大得意な両候補のどちらが勝ったとしても、いつも格好の批判対象である日本への風当たりが強くなるであろうことは、容易に想像できる。

今年の選挙戦への私の中での期待と盛り上がりが、一気にさめてしまった。


ニューハンプシャー州の予備選が行われた。
3日のアイオワ州、5日のワイオミング州に続く3戦目である(アイオワとワイオミングは党員集会、ニューハンプシャーは予備選なので、予備選としては最初になるが)。
民主党はアイオワ勝利の勢いにのるObama氏をClinton氏が得票率3%の接戦で制し、初勝利。
共和党はMcCain氏がRomney氏を同じく5%差で破って初勝利を上げた。
"Chuck Norris Approved"のHuckabee氏は11%の得票にとどまり、ニューハンプシャー州民の「良識」を感じさせたが、それにしても我らがRomney氏は今回も二位止まりと、ワイオミング州での勝利にも関わらず、イマイチ決め手を欠いている。

Mitt Romney。
1947年生まれの60歳。
父親はミシガン州知事George Romney。
モルモン教徒。5人の子持ち。
ハーバード大学のビジネススクールとロースクールのジョイント・プログラムを、双方とも優等で修了。
卒業後、1978年にコンサルティング・ファームのBain & Companyに入社し、数年でパートナーに昇進。
1984年にはプライベート・エクイティ・ファンドのBain Capitalを仲間と設立し、共同経営者として散々儲ける(個人資産は200億円超ともいわれている)。
その後1990年には、当時経営危機に陥っていたBain & Companyに社長として戻り、1年で再建。
2002年のソルトレイクシティ冬季五輪の組織委員会会長を務め、同年からマサチューセッツ州の知事に就任、財政再建を実現・・・。
と、経歴の華々しさ、特にビジネス経験の豊かさは、他の有力候補を凌駕していると思われる。
が、そうした彼の経歴や話しぶりが、逆に一部の層の反感を強く買うらしい。

例えば、彼が共和党ディベイトなどで発言するときには、よく
「それについては、言いたいことが3つある。1つは・・・」
というような言い方をする。いかにも元コンサルタントらしい話し方で、個人的には喝采を送りたくなる。
他にも、ディベイトや演説の中でやたらと数字を出してきたり、パワーポイントのスライドを使って演説をしたりと、コンサルタントっぽいところは枚挙に暇がない。
マサチューセッツ州知事時代の実績ともあいまって、これが一部の有権者には強く支持される。
しかし、他方では、彼の学歴・経歴と言動を重ねて、エリート主義者だの、ガリ勉だの、偽善者だの、好き勝手に批判されている。
実際に勉強はガリガリやっていただろうし、ビジネスの世界ではエリートコースを歩んでいるので、必ずしも否定できないのだが、とにかくこの手の人物は、万人ウケしないようである。

そんなRomney氏、今後どこまで票を伸ばすことができるのだろうか。
何となく自分のキャリアを問われているような気すらして、目が離せない。




今年は、米国大統領選挙の年である。
今日のアイオワ州党員集会で、その予備選が開始された。

選挙はどこの国でもお祭りみたいなもの。この興奮をナマで味わえるのは幸運である。
しかも、今回の選挙は、初の黒人大統領、初の女性大統領誕生の可能性がある、歴史的な選挙である。加えて、自分の所属するコンサルティング・ファームの元社長(共和党のMitt Romney元マサチューセッツ州知事)が出馬している。注目しないわけがない。

昨年からの報道では、民主党はBarack Obama上院議員とHillary Clinton上院議員の一騎打ちとみられ、共和党は元NY市長のRudy GiulianiJohn McCain上院議員とMitt Romney氏が追う展開、と言われてきた。

蓋をあけてみると、民主党は前評判どおりの一騎打ちで、Obama氏が勝利し、Clinton氏、Edwards上院議員が続く、という結果に終わった。まあ、何らサプライズはない。
ところが、共和党に異変が起こった。当初は「その他大勢」の候補者の一人と目されていたHuckabee元アーカンソー州知事が勝ったのだ。確かに直前の報道で、その支持率の急上昇ぶりが指摘されていたが、実際に彼の勝利で終わると、ちょっと信じがたい気持ちになる。

Mike Huckabee氏、失礼ながら、つい先日までは名前も知らなかった。
アーカンソー州出身、キリスト教の牧師でもある。1955年生まれだから、Romney(1947年生まれ)、Giuliani(1944年生まれ)、McCain(1936年生まれ)など他の共和党有力候補より若く、実質的に唯一の50代候補である。が、それ以外に特段のセールスポイントがあるように感じられない。腹話術のようにパクパクと動く口元は端から涎が出てきそうで、あまり知性を感じない。共和党支持者の保守派で、Romney氏がキライな人々が支持したということか。

そんなことを思っていたら、同じ家族寮に住むチリ人の一人が、Huckabee氏の支持率急騰の引き金になったテレビCMがあると教えてくれた。
それが以下の映像である。



Chuck Norris!
米国の誇る(?)アクション俳優である。その独特のキャラクターから、
The leading causes of death in the United States are 1.Heart Disease 2.Chuck Norris 3.Cancer. 
とか、
Chuck Norris doesn't wear a watch, he decides what time it is. 
とか、様々なジョークのネタになっている人物である。
日本でいうと、俳優ではないが、キャラ的にはアントニオ猪木に近い。
そんな人間の名前を使って国防のキーワードにしたり、"approve"をもらったりしたからといって、支持率急上昇に繋がるとは!!
アイオワ州の人々の好みか?
お笑い芸人やらスポーツ選手やらが続々と政界入りする国の人間に言われたくないかもしれないが、そんなんで米国大統領を選んでいいのか!?
ベトナム戦争を経験し、2000年の選挙で現大統領Bushと争ったMcCainや、Harvard大学のBusiness SchoolとLaw Schoolの双方をピカピカの成績で卒業し、コンサルティング・ファームやプライベート・エクイティ・ファームを率いたRomneyにしてみれば、アホらしくてやっていられないのではないか。

渡米以来、この国の常識には驚かされることばかりだが、今日の共和党党員集会の結果は、2008年最初のサプライズであった。
次のニュー・ハンプシャー州の予備選では、多少なりとも良識的な結末を期待したいものである。


Barack ObamaBoston Commonで演説をするというので、聞きにいった。

来年は、米国大統領選挙戦が繰り広げられる年である。そして今回の選挙は、選挙戦の実質的な開始がかつてないほど前倒しになっている。
New Englandは、New Hampshire州がIowaに続いて早い時期に党の候補者を選ぶ党員集会を行うため、各陣営とも力を入れている。先日まで、私が所属するコンサルティングファーム出身のMitt Romney(共和党)が知事についていたが、MassachusettsはJFKを生んだ土地であり、伝統的に民主党が強い。そんなこともありObamaのスピーチは話題性が高い。

17時から演説が始まるときき、16時頃にスローンを出て、同級生の日本人TK君、KK君とともにBoston Commonに向かう。着いてみると、まさに黒山の人だかり。立ち入り規制のかかったステージそばの場所に入るには長蛇の列が出来ており、ステージを見下ろす小丘陵の斜面も人で埋められている。仕方がないので、立ち見でObamaの登場を待った。

すると、演説の開始が18時になるという情報が、ボランティアの係員から伝えられた。いわく、17時は集合時間であって、開始は18時だと。確かに、17時半くらいから、前座のスピーチやゴスペル唱和が始まっている。

18時を過ぎた。以前、Obamaは現れない。

19時。まだ出てこない。
和泉ナントカでもあるまいに、そんな遅刻はあり得ないだろう。
ここで後の予定のあった私は会場を離れた。
後で聞いたら、19時15分くらいに、Obamaは現れたらしい。
そしてスピーチの内容は、テレビ討論同様、
「我々は変わらなければならない!」
「機能麻痺したワシントンを潰そう!」
「アメリカを取り戻そう!」
というような、感性に訴える主張ばかりだったとか。

Obamaさん、そういう直情的なメッセージが効果的かもしれない人は、貴方が来ないうちに会場を去ってましたよ。
遅刻はいかんし、それ以上に、遅刻しても言うことが変わらないのは、もっとイカンですよ。


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WEATHER@MIT
PROFILE
HN:
Shintaro
性別:
男性
職業:
経営コンサルタント
趣味:
旅行、ジャズ鑑賞
自己紹介:
世の中を素直に見ることが苦手な関西人。
MITスローン校でのMBA、プライベート・エクイティでのインターン、アパレル会社SloanGearの経営、そして米国での生活から、何を感じ、何を学ぶのかー。

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