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「 Topical 」
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前回29日の記事で、麻生太郎内閣発足について「米国ではほとんどニュースになっていない」と書いたが、まったくニュースになっていないわけではない。
が、書かれていることといったら、結構キツかったりする。
中でも、New York Timesの社説は、パンチが強かったようだ。
(原文はこちら
「麻生太郎再登場」として、05年から07年の外相時代の「問題行動」を振り返り、彼を「好戦的な民族主義者」と形容したうえで、「いくら景気浮揚に注力するといっても、中国・韓国を含めて経済関係の深いアジアの国々と現実的な視点でうまくやれないとダメよ」と結んでいる。
これについては日本の外務省関係者から、「麻生首相は中国・韓国を尊敬してますよ」という反論が同紙に投稿されているが、肝心の中国・韓国からの援護射撃でもなければ、あまり説得力がないだろう。

彼の「問題発言」について、日本では中国や韓国に関するものが大きく取り上げられているように思うが、欧米人についても差別的ととれる発言をしていたようで、こちらの報道ではそれも振り返られている。
日本語で何と言ったのかわからないが、要するにはパレスチナ問題について、欧米人は青い目と金色の頭髪をもっているから絶対に解決することはできず、日本人は黄色人種だから信用されている、という内容だったらしい。
(原文はこちら
こういう人物を、いくら血統的にサラブレッドだからといって、一国の宰相にすることの文脈を、日本の政界はどの程度理解しているのだろうか…。

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大方の予想通り、麻生内閣が成立した。5日前のことである。米国ではほとんどニュースになっていない。
と、思ったら、早速国土交通大臣が辞めた。
と、思ったら、後任にはまた二世議員が登用された。
辞めた中山成彬は非二世であったから、また二世が増えたことになる。気づいたら、総理大臣を筆頭に、実に2/3が世襲代議士である。
  • 麻生太郎(首相) …義父は鈴木善幸元首相。吉田茂の孫。さらにその祖父は大久保利通
  • 塩谷立(官房長官) …父は元衆議院議員の塩谷一夫
  • 中曽根弘文(外相) …父は中曽根康弘元首相
  • 鳩山邦夫(総務相) …祖父は鳩山一郎元首相
  • 金子一義(国交相) …父は金子一平元蔵相
  • 石破茂(農相) …父は元参議院議員・元鳥取県知事の石破二朗
  • 森英介(法相) …父は元環境庁長官の森美秀。故三木武夫元内閣総理大臣夫人三木睦子は伯母
  • 中川昭一(財務・金融相) …父は元科学技術庁長官の中川一郎。参議院議員中川義雄は叔父
  • 浜田靖一(防衛相) …ハマコーの息子
  • 野田聖子(消費者行政担当相) …祖父は野田卯一元建設相。
  • 小渕優子(少子化問題担当相) …父は小渕恵三元首相、祖父も衆議院議員
  • 甘利明(行政改革担当相) …父は甘利正元衆議院議員
というわけで、全閣僚18名中12名である。
もちろん米国も、現大統領がそうであるように二世代議士は多数存在するが、これだけ社会・経済状況が芳しくない中で、これだけウジャウジャ出てきたりはしない。
一体、誰の国なのか。
もっとも、選ぶ有権者にも責任はあるのかもしれないが…




ビル・ゲイツがソフトウェア・ビジネスの第一線から退いた。
昨日6月30日をもってマイクロソフトの常勤職を離れ、今後は会長職にはとどまるものの、週一回顔を出す程度になるという。現在52歳のゲイツ、20歳でマイクロソフトを起業してから、32年間で世界のオペレーティング・システムのシェア9割を誇る時価総額33兆円(世界第三位)の会社と6兆円を超える個人資産を形成、今後は慈善活動を中心に生きていくらしい。

ソフトウェア・ビジネスは、しんどい。
うまくいけば桁外れに収益性が高く、最近は必ずしもそうでもないが、一昔前は成長性も桁外れだった。
しかも優れた頭脳と普通のパソコンがあれば、誰でも参入できる。
当然、新規参入が相次ぐ。
それが技術革新をうみ、ある時期に支配的であった製品や技術が、一瞬のうちに市場から駆逐されてしまったりする。
しかもあまりに革新のスピードが速いために、技術の進歩の先行きが見通せず、構造的な競争優位性を築きにくい。
昨日触れた、私の働くPEファームが投資に際して求める要素のうち、いくつかの決定的な部分で×がついてしまう。
そんな中で彼(およびマイクロソフト)が凄いのは、目先のソフトウェア開発に集中するのではなく、時代の方向性を読んで、業界の中に誰もが踏み込むことのできない領域(=オペレーティング・システム)を築き上げ、持続的かつ構造的な競争優位性を構築、強化していったことにある。
つまり業界がしんどくても、そのなかで自社だけは他社に対する圧倒的なシェアと技術力を武器に持続的な成長が可能なモデルを作り上げ、それを実現してきた。
ここまでくると、PEファーム的にも○である(値段の話はおいといて)。
米国の規制当局を中心に、独占だのなんだのと批判する声も強かったが、ビジネスの究極の目標はいかに儲かり続ける仕組みを作り上げるか、にあるのだろうから、私は純粋に、凄いと思う。
マイクロソフトにフルタイムで身をおいていたときも、終盤のビルゲイツは、そうしたソフトウェアの未来像を考えるために、毎年一定期間、米国の別荘に篭って、一歩も外に出ず、誰にも会わずに、じーっと考えていたらしい。そして、その一定期間の「瞑想」のあと、自分の頭に浮かび上がってきた構想を、電話会議で全世界のマイクロソフトの幹部に伝えるのだという。
そうしてビジョンで組織を引っ張ってきた彼が最近口にしていたのは、インターネットを通じたソフトウェアの革新と、タッチパネルや音声指示に代表されるようなより直感的でシンプルなパソコン操作による利用者の裾野拡大であったが、前者ではGoogleに先行され、後者ではAppleの方が今のところ良い仕事をしているようにみえる。そんな中で、自らの限界を感じつつあったのかもしれない。
しかしそうであったとしても、52歳という若さで、手塩にかけて育ててきた企業の経営から身を引くというのは、なかなかできる決断ではない。この決断も、凄い。本人もそれを知っていたから、敢えて前々から「08年の夏には辞める」と公言して、自らを追い込んでいたのかもしれない。

私のような凡人には、マイクロソフトが今後どこに行くのか、あるいはソフトウェア・ビジネスが今後どうなるのか、まったく予想がつかないが、10年後くらいに歴史を振り返ったときに、2008年が何かのターニングポイントになっているのではないか、という気がしてならない。

いまだにファーストフードを主食とし、一般旅客機に乗るときはエコノミークラス、という質素な生活を続けているというビル・ゲイツ。どこかのマクドナルドか空港で会ってみたいものである。



米国五大証券の一角に数えられるベア・スターンズ(The Bear Stearns Companies)がJRモルガンに買収されることになった。
14日のニューヨーク連銀による救済策発表に続き、16日に発表された。
衝撃的なのは、13日時点でおよそ一株60ドルだった株価が、NY連銀による救済策発表後33ドルまで下落、そしてJRモルガンによる買収は、一株2ドル(総額2億3600万ドル)で合意されたことである。たった3日で、歴史ある米国大手投資銀行の株価が30分の一になり、たった200億円ちょっとで買収されてしまったのだ。

ベア・スターンズの名前は、米国に来るまで(もっと言えば去年サブプライム問題が深刻化するまで)正直言って聞いたこともなかったが、1970年代に初めてMBO(LBO)を手がけた会社で、約1万4千人の社員を抱える、紛れもない大手投資銀行である。昨年6月に同社傘下のヘッジファンドHigh-Grade Structured Credit Strategies Enhanced Leverage Fundが破綻し、これに与信供与していたメリルリンチ、Bank of Americaなどの大手金融機関が軒並み損害を被ったことが、「サブプライム問題」の端緒であったが、当然ながらメリルリンチなどの貸し出し銀行以上に、これを直接管理していたベア・スターンズへのパンチは強烈で、昨年下期だけで損失は3000億円弱にのぼった。もともとセカンダリ市場を中心にした「得意分野」にしか基盤を持たない体制もあって、体力的に持ちこたえられなかったのだろう。
14日に発表されたNY連銀の救済策は、1998年のLTCM救済より一歩踏み込んで(当時は救済を仲介したのみ)、直接資金を貸し出すというもの。まさに、かつての山一證券への日銀特融と同じスキームである。そのことからして、いかに状況が深刻かを更に市場にアピールすることになってしまったのだが、それから中一日をおいての身売り発表、しかも市場価格からあまりにも乖離した金額でのディールに、先に開いたアジアの株式市場はパニック売りになっている。つまり、「あの銀行の正味価値ってそんなもの?ということは、あの銀行の負債(投資している企業にとっては資産)はほとんど価値がないということ?」という理解から、一気に売りが広がったのだ。

明日、米国の市場が開いたら、どうなることか・・・。
今夜一緒に飲んでいた、同じ寮に住むチリ人のAR君は、フランスの投資銀行カリヨン(Calyon)からサマーインターンの内定をもらって喜んでいたのだが、このニュースに接して、一転不安そうな様子であった。
そういえば、山一が破綻したときも、自分は学生だったなあ・・・。



インターネットのお陰で、ボストンにいても日本のニュースは手近なところにある。
スローンの図書館には、朝日新聞も置かれている。
基本的に文字媒体ばかりなので、静かに降り積もる雪のように、情報が溜まっては消えていく。

今年に入って、日本から伝わってくるニュースには、一向に明るいものが見当たらない。
政治、行政、経済、地方政治、社会問題…、
何一つとして、積極的な材料が見当たらない。
米国も、たいがいいい加減な、滅茶苦茶な国だと思うが、それとの比較感においても、何ともお粗末な状態である。
遂に18日には、日経新聞が「市場に背を向ける政治」として福田内閣を痛烈批判。ごもっともな指摘であるが、日経に書かれた意味は大きい。
改めて振り返ってみると、やはりこの国の2008年は、恐ろしいまでに悲観的な状況だ。

  • ますます後退、矮小化する政治
    • 「生活者、消費者が主役」の政治という、空虚で無内容なスローガン。消費者行政一元化構想の迷走
    • 「ガソリン国会」。1リットル25円下げると息巻く野党と、意味不明な反論を繰り返す与党。一方で米国はサブプライムローン焦げ付きごの緊急経済対策で、一人18万円ほどの小切手を国民に送ることを検討
    • 行政改革を巡る渡辺喜美金融・行革担当相の孤立。公務員制度改革、特殊法人整理の骨抜き化
    • 整備新幹線未着工区間のJRへの財源負担のゴリ押し。宮城県選出の議員の質問に対する武部元幹事長の「あんたのところは新幹線走ってるじゃないか!」発言
    • 北朝鮮拉致・核問題の風化
    • 鳩山法相の連続失言
  • 統制経済への郷愁を捨てきれない行政
    • 空港への外資参入規制
    • 英国投資ファンドTCIによるJパワー株買い増しに対する経済産業省の横やり
    • そして経済産業省の北畑事務次官によるデイトレーダーや投資ファンドに対する「最も堕落した株主」「バカで浮気で無責任」発言
  • 取り残される経済
    • 株価の続落
    • 世界の時価総額ランキングでトップ10に日本企業なし。トップ500に入った会社の数でも、中国企業を下回る
  • 衆愚政治の様相を呈する地方
    • 橋下弁護士の大阪府知事就任。さっそくの公約撤回
    • ちなみに今度の月9はキムタクが総理大臣。今立候補したら東京都知事にでもなれる!?

自浄作用を失った国は、どこへ行こうとしているのだろうか。



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PROFILE
HN:
Shintaro
性別:
男性
職業:
経営コンサルタント
趣味:
旅行、ジャズ鑑賞
自己紹介:
世の中を素直に見ることが苦手な関西人。
MITスローン校でのMBA、プライベート・エクイティでのインターン、アパレル会社SloanGearの経営、そして米国での生活から、何を感じ、何を学ぶのかー。

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