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「 MBA General 」
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昼休みを利用して、クラブの説明会が開催された。
説明会といってもホールや教室でプレゼンをするのではなく、校舎のロビーに各クラブのブースが並んで、簡単なQ&Aと仮を含めた入部の受付をする、というもの。

クラブ活動は、課外活動の代表例として、Application Essayの題材にしたり、Application interviewで話題に上ったりすることも良くある。私も入学前からウェブサイトや「先輩」から多少の情報を得ていたが、どのビジネススクールでも、半数以上はだいたい同じようなクラブが名を連ねていて、概ね以下のように分類できる。
①お勉強/プロジェクト系
②異文化交流系
③スポーツ系
④社会貢献系
⑤文化系

日本の一般的な大学のサークルやクラブと比べると、①②あたりが特徴的か。
②は分かりやすい。世界各地から学生が集まっているビジネススクールの特徴を活かして、各地域の文化に触れたり、あるいはその地域での職を探したりするというもので、主な活動は旅行やパーティなどのイベント企画運営だ。
一方、①はMBAの教育課程でもカバーされるビジネス領域についてより自発的な活動を通じて見識・ネットワークを広げようというもので、スローンでは具体的には以下のようなものがある。
Management Consulting Club
Marketing Club
Sales Club
VC/PE Club
Finance Club
Investment Management Club
Biomedical Business Club
MediaTech Club
それぞれのクラブのホームページを見ても、もう一つ何をしているのかピンと来なかったので、一通り覗いてみたが、乱暴に言えば共通しているのは
1) 活動はイベントとプロジェクト
2) 参加者の目的は就職活動
ということのようである。
1)でいうイベントの代表的な例は、会議やコンペである。VC/PE Clubであればボストン地区を中心にVC/PE業界の著名人を集めてパネルディスカッションをしたり、Consulting Clubであれば各コンサルファームのVPクラスを招いて講演会をやったり、Sales Clubであればセールストークのコンペをやったり、という具合だ。
そんな会議を開いてどうするの、という気もしたが、その目的は2)になる。つまり先々自分が進路に考えている業界への露出を高め、人脈を広げることで、有利に職を得ようというものである。
ということで、納得するとともに、何となく冷めてしまった。
知的に面白く、身になりそうな活動をしているように思えたのは、Investment Management Club(自分でファンドを持っていて、実際に投資している)とSales Club(セールストークのトレーニングとかがある)くらいで、これらについては今後開かれる個別のInfo Sessionにも行ってみようと思うが、他はまあいいかな、というのが結論。

というわけで、サッカークラブだけ入部して、帰りましたとさ。

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いよいよ秋学期が始まった。
MITスローンでは一年が二学期で構成されており、つまり2年の在学期間中4つの学期(春、秋それぞれ2回ずつ)を過ごすことになるが、その最初の秋学期だけは、基本的に全員が同じ基礎科目を履修する「コア課程」と呼ばれている(それ以外の3つの学期で履修する課程は完全に学生の自由選択)。
履修が義務付けられているのは以下の6科目である(金融とマーケティングは選択制)
ミクロ経済学
統計
会計
金融(またはマーケティング)
組織プロセス
コミュニケーション
最初の4科目が2時限/週、他の2科目は1時限/週で、あわせて10時限/週である。
コマ数だけみるとそれほどタフなようには感じられないのだが、「先輩」たちは外国人も日本人も口をそろえて、「Core semesterはしんどい」という。
初日は統計と金融の授業があったが、シラバスや成績採点方針の説明などが中心で、その「しんどさ」の一端を垣間見ることは出来なかった。
まあ本当にしんどければすぐにわかることだろうし、しんどくなければそれはそれでラッキーなので、黙って状況を見守ることにしよう。



Beer Gameというのをご存知だろうか。
一言で言えば、「船頭多くして在庫と受注残が溜まる」ということか。

System Dynamicsを学習する導入としてMITスローン校で1960年代に開発されたロールプレイングゲームである。オリエンテーション最終日の今日は、ホテルのボールルームを借り切って、全員でこのゲームを体験した。
ゲームの説明は、神戸大学大学院経営学研究室編『経営学大辞典 第2版』中央経済社、1999.11に簡潔にまとまっているので、以下借用する(カッコ内のみ筆者加筆)
「・・・ゲーム盤には「工場」・「一次卸」・「二次卸」・「小売店」の役割があり、参加者はチームとなって(通常各プロセス一人で計4名。今回は各プロセスを2名ずつのサブチームが担当し、計8名)各ビールゲーム盤に向かい勝敗を競う(この日は参加者のやる気を喚起するため、全員から1ドルずつ参加費として徴収し、優勝チームの賞金とした)。しかし、このゲームの本当の目的は勝敗にはない。ゲームの参加者が、一つの複雑なシステムの意思決定を分担し相互に圧力を感じながら自らの意思決定を遂行するロールプレイングを通して、人間の合理的な意思決定がフィードバック情報の誤認のためにパラドックスを引き起こす過程を体感する。こうして、「システムの内的構造が行動を生む」というSD(System Dynamics)の大原則と共にシステム思考とはどういうものかを体験的に学習し、SDへの入門的な役割を果たす」
補足すると、各プロセスでは、下流の需要を予測しながら、上流工程に対して発注をかける。最下流の小売店に対する需要は顧客からの需要で、これは各チーム同じ内容がカードになって与えられている。各工程の在庫および受注残にはコストがかかり、このコストをプロセス全体として最小化するのが目的である。但し、発注が次工程に届くまで(最上流の工場であれば生産指示をかけてから完成するまで)に2ターンの時差があるため先読みの必要があり、これが事態を複雑にする。妄想や相互不信で各工程が勝手な予測をたて、信じられないくらいの在庫と受注残が発生するのである。実際に、優勝チームと最下位のチームとでは、かかったコストに5倍ほどの開きがあった(ちなみに我がチームの成績はほぼ平均並み)。
ゲーム後の解説によると、実際の工場の生産計画担当者などが集まってこのゲームをやった際も、あるいは一流経営者が集まってこのゲームをやってみた際も、素人がやる場合と大差ない(あるいはそれを遙かに上回る)ほどの点数(コスト)になったらしい。それどころか、最初から末端の顧客からの需要が知らされていたとしても、理論上の最低コストにはなかなか近づかないらしい。これが上記の経営学大辞典のいう「人間の合理的な意思決定がフィードバック情報の誤認のためにパラドックスを引き起こす過程」である。

多少冗長な気はしたが(ゲーム後の解説が1時間以上かかった)、授業のイントロとしては非常に面白かった。System DynamicsはMITがユニークに強い分野でもあり、是非受講してみたい。


ちなみに、Beer Gameの醍醐味はボード上でわいわいやることで味わえると思われるが、オンラインでも体験することができるソフトをMITで提供している。詳しくはこちら

秋学期の始まりまでいよいよ残り一週間ほどとなり、オリエンテーションが始まった。プログラムの説明、チームビルディングのための野外活動、就職活動の説明などが、数日で行われる。海外学生のためのワークショップ、履修科目の予習のためのPre-term、そしてこのオリエンテーションと、本課程が始まるまでのサポートは上げ膳据え膳の充実ぶりだが、同時にここまでくるとちょっと食傷気味に感じる。とはいえ、今日は実質的な始業式(ほぼすべての学生が最初に登校し、偉い人のスピーチとかがある日、という意味で。ちなみに入学式はない)であり、クラス編成やチーム編成が発表されるとあって、ちょっと楽しみに出かけた(時間を間違えて1時間遅刻したが…)。

偉い人の話は、彼女が副学部長になったばかりで、非常にそれを名誉に感じていて、今日は極度に緊張していた、ということ以外まったく印象に残っていないので、クラス編成についてから書く。スローン校では、一学年370名程度の学生を60数名ずつ6つのクラスに分ける。HBS(一クラス90名程度)などに比べると小規模で、お互いが知り合えるという意味で自分にはちょうど良く感じた。これらのクラス(Cohort)は、海(Ocean)の名前で呼ばれる。つまりAtlantic、Pacificなどで、私はBalticというOceanの所属になった(バルチック海はOceanではなくてSeaだろう、というツッコミは各地で囁かれていたが、中にはCarribianというOceanもあったので、地理的な正しさよりも語呂でつけているのだろう)。さらにこの各Oceanは、6-7名ずつ10個のチームに編成される。Core Teamと呼ばれるこのチームは、最初の学期を通じて、チームプロジェクトをはじめ各種活動の基本単位になる。そしてここでは海に続いて、鳥の名前がチーム名に使われる。鳥は各Oceanに共通しており、10種類の鳥の名前が使われている。中にはPelicanのように、馴染みのある(ぱっと聞いてわかる)名前もあるのだが、半分以上は即座に画像が想起されない鳥で、よって親しみやすさも正直感じない(第一、覚えにくい)。私の所属はGannetという鳥だったが、これまた聞いても?である。辞書を引くと、「カツオドリ」と出た。まったく手がかりにならない。日本人の自分にだけ馴染みが薄いのかと思ったら、7名のチームメンバーのうち4人が知らなかった。早速、チームメイトの一人が買ったばかりのi-phoneを取り出して嬉しそうに、googleで調べたところ、以下のような鳥らしい

Gannet.jpg             Gannet_flying.jpg

・・・まあ、カモメみたいなものか。いずれにせよ、クラスがOceanなので、水辺の鳥にしたかったらしい(それにしても、カモメ(Gull)じゃダメなのか)。ちなみに、「カツオドリ」で画像を調べたら、

katsuodori.jpg

・・・全くの別物に見える。まあ、前者の方が見栄えが良いので、そちらが正ということにして、後者は忘れることにする。

それにしても、数字が大好きなMIT(建物名、部屋名(含むトイレ)、学部名、科目名などがすべて数字で表されている)であるにも関わらず、こうした具体名詞をクラスやチームの名前にするのはなぜか。教務担当の女性は、「そのほうが愛着が持てるでしょ」というような説明をしていたが、それならば建物なども同じように普通名詞で名づければ良いし、鳥はもうちょっと万人にわかる種類を選んでほしい。何よりも、要するに愛着はそこでどういう経験・体験をするかで醸成されるべきもので、かわいい名前をつけたからといってそれが育まれるとも思えない。なんとなく、中途半端な虚構の産物に見えてしまう。

虚構といえば、クラスわけが発表された後クラスごとに指定された教室に入り、最初のミーティングが行われたときの有様は、まさにそうした印象を受けた。
・教室入場時はそれぞれハイタッチ、
・世話役の2年生に扇動されてOceanの名前を大声で連呼、
・興奮を示すために机や壁をドンドンと叩く、
たいがいの日本人が「面倒くさいなあ」と感じる大衆扇動である。
誰がこういうことをしたがるのか。日本人だけでなくアジア人全般に抵抗を感じていたように見え、それは驚かなかったが、驚いたのは米国人のなかにも面倒くさそうにやっていたりする連中が少なからずいたことである。それほどまで国際的に面倒くさがられるのなら、この企画は学生の満足度を下げているだけではないか、と思ったりもした。

食わず嫌いはやめよう、というのが留学時に掲げた自戒の一つなので、こういう文化的体質からも目を背けずに付き合っていこうと思うが、どうなることやら…。少なくとも、いわゆる外資系の会社で数年を過ごしたお陰で、その前の自分に比べれば、耐性がついていたことは間違いなさそうである。



7日からは、Communication & Culture Workshopという補講が行われる。米国で就学経験も就業経験もない外国人(約370のスローン生のうち約70名)を対象(履修は義務)にした約一週間のセッションで、ケースディスカッションやチームプロジェクトといった米国経営大学院で主流となっている教育スタイルを生徒に体験させ、慣れさせることが目的となっている。いかに授業中に手をあげて発言することが大切かが強調され、そのための準備や教室内の「ポジショニング」が解説され、またさまざまなバックグラウンドのチームメートとうまく協業するためのポイントが説明される。

つまるところ、米国流高等教育に慣れていないと想定される連中が落第するリスクを軽減し、その他の学生のお荷物にならないようにし、遂にはMBAコース全体の質・満足度の向上につなげるための、親心、あるいは「当局」側のお節介である。

個人的には、確かに米国就学経験・就業経験ともにないのもの、恥ずかしながら米国のコンサルティングファームで5年ほどを過ごし、その間に海外研修、海外オフィスとの横断プロジェクト、果ては外国人若手社員への研修の講師などを経験してきたため、まあ授業で強調されたことのほとんどは目新しく感じなかったし、彼らの自負する「米国流高等教育」にもそれほど不安は感じていなかった(純粋に英語が聞き取れないという不安は常にあります)。しかしながら、授業中の発言とそのための挙手を絶対的な正義とする教条的な姿勢には、それを強調されるほどに、改めて違和感を覚えた。果たしてそんなに大事なのか。

要約すると、授業中の発言とそのための挙手は、以下を目的として強く奨励されている。
①クラスへの貢献(ユニークな視点の提供、議論の深化)
②自らの理解・参加意欲の主張(=成績のためのポイントゲット)

が、少なくともこのWorkshopの中では、いずれにもさほどの説得力を感じなかった。

①については、当然ながら個々の発言(まあ全部と言わないまでも、その多く)がユニーク(=クラスの半分以上の人が考えつかない・言えないようなこと)であり、またそれを踏まえて教授が全体の議論を発展させることができるのが前提である。ただ、まあ練習的な意味合いが強かったのかもしれないが、求められる発言の8割程度は、事前に通読してきたテキストについて、
「主人公は○月○日に何をしたかな?」
「主人公と、ここで登場するA氏との関係は?」
というようなもので、一問一答に近く、「ユニーク」の余地は僅少である。また、議論を深化させるための教授のファシリテーション力もあまり感嘆するようなものではない。たまにある学生の意見に対して他の学生から「自分はそれとは意見が違う。というのも…」のような発言があっても、それをうまく活かして議論の対立軸を整理しディベイトに持ち込むとか、ブレインストーミングで得られたランダムな意見にフレームワークをあてて次のレベルの示唆に昇華させるとか、そういうのがみられない。

②についても、スローン校は優秀学生のDistinctionとかがなく、一方で落第のリスクもそもそも非常に低い(らしい)ので、学生にとって成績至上主義的にポイントゲットにいく動機付けがイマイチ大きくない。

発言・挙手の意義として唯一あるかもしれないと感じたのは、発言しようとすることで当事者意識が高められ、教授や他の学生の意見をより真剣に聞いたり(少なくとも眠気は減る)、事前にテキストを真面目に読んだりしようとする作用であるが、英語力に難のある身としては、授業中の自分の発言のための思考と、教授の説明をノートに落とすのとは、まだまだ両立しない場面がある。

今後、本格的に学期が始まってから、上記のような認識が良い方向に反証されることを期待したい。





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PROFILE
HN:
Shintaro
性別:
男性
職業:
経営コンサルタント
趣味:
旅行、ジャズ鑑賞
自己紹介:
世の中を素直に見ることが苦手な関西人。
MITスローン校でのMBA、プライベート・エクイティでのインターン、アパレル会社SloanGearの経営、そして米国での生活から、何を感じ、何を学ぶのかー。

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