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「 100k finale ...熱気 」
MITのBusiness Plan Competition "100K"の閉幕イベントが盛大に行われた。
スローンの学部長(Dean)の挨拶から始まって、現在のインターネットLANの事実上の標準規格であるEthernetを発明したBob Metcalfe氏の基調講演、7組の最終選考進出チームによるショート・ピッチ(売り込み)、表彰、という順序でイベントは進んでいく。
数百名の聴衆を飲み込んだホールは、知らない顔ぶれも目立つ。スローン以外のMIT、あるいは他校からも人が集まっているのだろう。
最終選考進出チームからのピッチの後は、聴衆からの投票による「特別賞」が選出・表彰される。携帯電話から良いと思ったチームの名称などを書いてテキスト・メッセージを送ると、自動的に集計されるようになっていた。プラスチックボードを用いた太陽光発電の商品を提案したチームがこれを受賞、賞金10kドル(約100万円)を受け取った。
続いて、最終選考の結果が発表される。審査は事前に終えられていて、Metcalfe氏が優勝チームの名前を読み上げるだけになっている。優勝したのは、"Diagnostics For All"というインド人を中心にしたチーム。病気や怪我に対して十分な初期診断を受けられないインドなど途上国の人々に経済的で科学的な診断手段を提供しようというサービスで、数種類の試薬を仕込んだ2cm四方ほどの試験紙に指先から採った血を含ませると、色の変化で様々な状態が判別できるようになっている。患者が自分で判断するだけでなく、試験後の紙を携帯電話のカメラで撮影して画像送信すれば、遠隔地にいる医師が確認することもできるという。チーム名が読み上げられたとき、チームメンバーは抱き合って喜びを爆発させ、喝采のなか賞金100kドル(約1,000万円)を受け取った。

盛大な今夜のイベントと、ここに至る過程を通じてまず感じたのは、米国のEntrepreneurship(起業家精神)の文化と、起業家を再生産する仕組みの凄さである。
まず、裾野の広さ。このイベントだけで、500名以上、210チーム以上が参加している。一年で210以上のビジネスプランが提案されたということだ。8割以上は一次選考で姿を消しているし、その中にはかなりお粗末なものもあったと思われるが、そういう人々も含めて「とりあえず参加してみよう」と皆が思うのは、凄いことである。更に全体の数だけでなく、多国籍な学生が極めて自然に参加しているのも、米国という「器」の得体の知れない包容力というか、凄みだろう。かつて日本で日中韓の学生が参加するビジネスプランコンテストのようなものを審査員として手伝ったことがあるが、そこでは「国際交流」という標語そのものが目的化していて、ビジネスプランの中身は二の次であった。そうした状況とは、大人と子供ほどの開きがあるように思える。
次に、イベントを通じたビジネスプランおよび人材の育成。我々のチームもそうであったが、このイベントをきっかけとしてMIT他学部の研究者と出会えたり、ベンチャー・キャピタリストや弁護士からのアドバイスを受けたりと、多くの学びとビジネスプラン改良の契機を得た。二次選考に進んだ35チーム、計100人ほどの学生が、こうした経験をしたわけである。
最後に、実際の事業化とそれによる雇用機会・投資機会・便益の創出効果である。優勝チームはもちろん、最終選考進出チームには、賞金だけでなく、数多くのベンチャー・キャピタルやチームへの参加希望者から声がかかることだろう。
そして、こうした効果と名誉が、また全体の裾野を広げることに繋がり、起業家予備軍が拡大再生産されていくのである。賞金だけで合計2,000万円以上のカネが集まっていることからも、企業のこうしたイベントを支援する姿勢の本気さ度合いが推し量られる。

もう一つ、面白いと感じたのは、最終選考に残ったテーマの特徴である。
7チーム中、エネルギー関係が2チーム、貧困地医療対策関係が2チームと、"sustainability"というキーワードで括ると、過半数がそれに関係するビジネスプランであった。
高齢化と人口減少が止まらない無資源国日本が無為無策のまま停滞している間に、米国社会は着実に次のステップに移ろうとしているのか。

米国の懐の深さとダイナミズムを感じた夜であった。
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[日記][読書]ビジネスで社会的課題を解く時代
昨日は、日本MITエンタープライズフォーラムが主催する、「第八回ビジネスプランコンテスト・イン・ジャパン(BPC8) 最終審査発表会」に出席した。 そのビジネスプランコンテスト自体は、私が米国のビジネススクール留学時代に経験したものと比較してしまうと、最終審査に
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Shintaro
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男性
職業:
経営コンサルタント
趣味:
旅行、ジャズ鑑賞
自己紹介:
世の中を素直に見ることが苦手な関西人。
MITスローン校でのMBA、プライベート・エクイティでのインターン、アパレル会社SloanGearの経営、そして米国での生活から、何を感じ、何を学ぶのかー。

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