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「 Red Sox 優勝 ...濃縮された高揚 」
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Boston Red Soxがア・リーグ東地区優勝を決めた。深夜のボストンの街は狂喜した群集がそこかしこの街角で奇声を発し、異様な興奮に包まれた。そしてそれ以上に、優勝が決まった瞬間の球場Fenway Parkは、この優勝決定に至る当日の特殊な流れのために観衆が熱狂的なファン2,000人程度に絞り込まれており、ある種の濃縮された高揚感と臨場感を味わうことが出来た。
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金曜日の午後だった。今日が松坂大輔の今年のレギュラーシーズン最終登板であることに気づき、とにかくFenway Parkに行ってみよう、ということで家族と、同期の日本人TK君と一緒に当地に向かった。自宅からFenway Parkまではタクシーで10ドルとかからない距離ながら、なかなかタイミングを見つけられないうちにシーズンも最終盤になっていた。

球場に着くと、当日券販売の窓口は見たところ3箇所しかなく、そこに400メートルほどの二列縦隊の人の列が続いていた。現在16時過ぎ、試合開始は19時である。列に加わり、当日券が入手できる幸運を願う。別の友人HW君は先頭から150メートルほどのところにいて、当日券入手のための整理券を持っていた。どうやら先頭から200メートルほどのところまでは整理券が配られているようだ。列のそれ以降の人々には、
「これは当日券購入のための列だが、あなた方はチケットを入手できるという保障はない。それを了解できるなら、並んでいてくれ」
というアナウンスが係員から繰り返し入る。17時を過ぎると、列から去る人も出始めた。先日のサッカー観戦の際の悪夢がよみがえるが、そうはいっても並ばなければチケット入手の可能性はゼロなわけで、またホットドッグやチームグッズの店・屋台の並ぶ沿道の雰囲気も悪くなく、列から去る気はしなかった。
そうこうしていると、テレビ朝日の取材クルーが、「日本人の方ですか?取材させていただいてよろしいですか?」とアプローチしてきた。

TV「今日松坂が勝つと、日本人最多勝の15勝目ですね」
私「そうですね、頑張ってほしいですね」
TV「今日レッドソックスが勝って、ボルチモアの試合でヤンキースがオリオールズに敗れれば、レッドソックスの地区優勝が決まりますが、今のお気持ちは?」
私「えっ!そうなんですか!?」
TV「・・・ええ、そうなんですが」

衝撃的な事実。アホな会話で取材のネタとしてはボツであろうが、知っておくべきことを知った。これは並ぶしかない。
18時過ぎ、「158ドルのVIP席が空いているがほしいやつはいるか」と係員が列に声をかけてまわる。少々高いが、通常席でもインターネットのダフ屋で前売り券を買うと200ドルはすること考えれば、悪いディールではない。さっそくとびついて、チケットを入手した。
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入手した席は内野で、最上階に近い。球場に入ると、ビールやグッズなどの誘惑に駆られながらも、まずは上を目指す。4階か5階まで上ったところがVIPゾーンになっていて、飲食物の購入はこの内外で分けられている(持ち込み不可ということ)。就いた席は三塁側のベンチ上最上段の前から2列目。米国の球場は傾斜が急なため、マウンドがすぐそこに見え、Red Soxの一塁側ベンチもよく分かる。感動していると係員の女性が現れて、自分がこのゾーンの担当なので、食べ物・飲み物が欲しかったら自分に言ってくれ、という。よく見ると、手元のドリンクホルダーにはメニューリストが置かれている。流石VIP。さっそくビールやバーガーを注文する。
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直後に選手紹介、続いて国歌斉唱。すばらしい流れだ。米国国歌は非常に良く出来た国歌だといつも思う。斉唱時にはいつも皆が興奮とナショナリズムに包まれる。

そしていよいよ試合開始。先攻はAwayのMinnesota Twins、そして声援に迎えられて松坂大輔がマウンドに上がる。
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注目の第一球は見逃しのストライク、そしてそのまま三球三振。
続く二番打者もフルカウントからファールで粘られながらも空振り三振、そして三番打者はセカンドゴロで、1回表を三者凡退に斬ってとる。まさに上々の滑り出しである。届いたビールも美味い。

続く1回の裏は、あっという間に先制点が入る。2アウトから三番に入ったOrtizがレフトに二塁打を放ち、続く四番Lowellのセンターへのヒットであっさりと生還する。さらに五番J.D.Drewもレフトに二塁打を放ち、Lowellが生還して2点先取。球場は序盤から大盛り上がりである。

2回、松坂は二人目のCuddyerにヒットを許すも、後続を抑えて零封。さらに3回の表も三者凡退に抑えると、その裏にRed Soxは四番Lowellのタイムリーで1点追加。楽勝ムードである。

松坂は6回まで零封。Rex Soxその裏にもYoukilisのタイムリーでLowellが生還し、4対0。ただしこのあたりから松坂が崩れることが多いので、油断はできない。案の定、7回もマウンドに上がった松坂は、先頭打者への初球をスタンドに運ばれてしまう。この回さらに1点を失い、4対2。しかしこの日はストライク先行の投球が認められたのか、ピッチャー交代とはならず、8回も投げきる。8回を投げ打者30人に対し2失点。完璧とはいえないが、先発の責任は十分果たしたと言って良いないようであろう。

試合はこの後、8回裏にOrtizがソロアーチを放ち、9回をJonathan Papelbonが注文どおりの三者凡退に抑えて、Red Soxが5対2で勝利。マウンド上のPapelbonはいつものガッツポーズ、球場全体も勝利をたたえる声援で震えた。

しかし、
本当のクライマックスはここからだった。
ボストンでの試合終了時点で、BaltimoreのOrioles対NY Yankeesは、8回の表まで終わってYankeesが9対6とリードしていた。いつもどおりならば、このまま最後は守護神Riveraが抑えてYankeesの勝利、となりそうな展開だが、今夜はここでどちらが勝つかに、Red Soxの優勝が今日決まるかどうかがかかってる。半分以上のファンは席を立って家路を急ぎ始めたが、一部は左翼の有名な高壁Green Monsterに掲げられたスコアボード(他会場の結果は係員が数字の書かれたボードを手で差し替えながら伝える)を見つめていた。すると、バックスクリーンに"Let's see if Orioles can work some magic"の文字とともに、Baltimoreの試合経過を伝える中継画像が映し出された。これは見ないわけにはいかない。さらに階下を見ると、一階の内野席に空きが見られ、どうやら出入りができるらしい。幼い娘には申し訳ないが、最後まで結末を見届けようと、皆で一階席に向かった。

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一階席は、コアなファンに一部日本人らしき客が混ざり、じっとバックスクリーンを見つめていた。
8回の裏、Oriolesは無得点。
そして9回、やはりYankeesは守護神Riveraを投入。万事休すか、と思われたが、Oriolesは脅威の粘りを見せ、2アウト満塁にまで持ち込む。
Fenway Parkは"Let's go Orioles!" "Let's go Baltimore!"の大合唱、400マイル彼方で奮闘する弱小チームに必死の声援を送る。
そしてこの声が届いたのか、八番Paytonがカウント1-2から走者一掃のタイムリースリーベースを放ち、9対9の同点!試合を延長戦にまで引きずり込む。
Fenway Parkは大興奮。優勝の可能性が俄かに高まったと思われ、テレビクルーや球団関係者がフィールドに現れ、一緒に試合の行方を見守る。
そして延長10回の裏、Yankees抑えのRiveraを攻略したOriolesは後続を攻め、1アウトから二番Redmanがスリーベースを放つ。犠牲フライでもスクイズでも、とにかく三塁ランナーを生還させればOriolesのサヨナラ勝ちとなるシーンで、Yankeesは続く三番、四番打者を連続敬遠し、満塁策をとる。
続いての打者は三振に倒れ、これで2アウト満塁。Fenway Parkの緊張感も最高潮に達したとき、なんと次の六番バッターMooreは三塁線へのセーフティーバントを放ち、これが決まってOriolesがサヨナラ勝ち、Red Soxの地区優勝が決まった!!

もうそのあとは、観客は皆でハイタッチの応酬、奇声をあげ、抱き合い、とにかく大はしゃぎ。
Red Soxの選手たちも続々とフィールドに現れ、最後まで残ったファンと一緒に雄たけびをあげたり、シャンパンを浴びせたりと、まさに選手と観客が一体となって優勝を祝った。このとき、観客はほとんど一回の内野席にしか残っておらず(発表では2,000人)、それがこの一体感をさらに高めた。本当に最高の夜だった。

ボストンに来て最初の秋にこの経験を出来た幸運に感謝するとともに、あまりにも劇的な幕切れとその場に居合わせたこの偶然が少し怖くもあったが、とにかく皆で今日のこの場に来たことを本当に良かったと噛み締めながら、球場をあとにした。

Red Sox、おめでとう!

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経営コンサルタント
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自己紹介:
世の中を素直に見ることが苦手な関西人。
MITスローン校でのMBA、プライベート・エクイティでのインターン、アパレル会社SloanGearの経営、そして米国での生活から、何を感じ、何を学ぶのかー。

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