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「 Jargons ...会社・業界の特質をあらわす何気ない言葉 」
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どこの会社でも、業界用語というか、そこでのみ罷り通る言葉がある。
皆最初は違和感を覚えるはずだが、強力な浸透力で皆に染み渡っていくので、その組織に暫くいるとまったく気にもしなくなる。ただ、インターンのようなかたちでひょっこり組織に入っていくと、やはりそうした言葉には敏感に反応してしまう。
ボストンでインターン中のPEファームにもそういう言葉がいくつかあり、なるほど、と思わされる。
いくつか、代表的なものを記録しておきたい。

WYHTB
What You Have To Believeの略。
これが本当だったらこの会社に投資してもいい、と言い切れるようなポイント(せいぜい5つまで)のことである。
コンサルタント出身のシニアメンバーに、コンサルティングとPEの違いについて聞いたとき、彼が最初にいったのが、「PEの方が短時間で多くの案件を捌き、かつ入札で競争先となるところが知らない・気づかない視点を持てるかが勝負なので、コンサルティングに比べてより絞り込んだポイントについて、執拗なまでに徹底的に調べ上げる点にある」ということだった。この絞り込んだポイントが、WYHTB。
ある会社をもってきて、ここは投資先として魅力的でない、ということを証明するのはなかなか難しい。そもそも何か面白みがある会社が最初に検討の網に引っかかっているはずである。ゆえに、まずは「この会社は投資に値する先だ」という結論をおいてみて、この結論を自分を含めたファームの皆が納得するためには、何が証明されないといけないかを、最初に徹底的に考えて、これを手分けして調べ上げる。もちろん、調べていく仮定で、より重要なポイントがみつかったり、検討しているものが実は的外れであることがわかったりする場合もあり、そうした場合はWYHTBのリストも見直す。ただ、いずれにせよ最も大切なのは、チーム全員がWYHTBの全体像を理解していて、そこに全知性を投入することにある。
コンサルティングをしていても、論点の絞込みの大切さはよく強調されることではあるが、確かにここではそれがより一層徹底されているようだ。

Catch Up
文字通り、追いつく、という意味だが、よく使う。
面白いのは、シニアメンバーが我々とミーティングをする際によく使う表現であること。
例えば、今度の水曜日に進捗を報告してくれ、という意味で、
"Let me catch up you guys on next Wednesday"
という。
スケジュール上のミーティングのタイトルも、Catch Up <Project Name>みたいな名前になっている。
Updateとか、Reportという表現を使わない。
確かにシニアスタッフに報告するまでは、実際の日々の分析を行っているジュニアスタッフの方が、いろいろな情報や知見を握っている(はずである)。これに、シニアスタッフが追いつかせてくれ、という言い方である。そこには、細かいことは現場任せ、とは正反対の、ジュニアスタッフが知っていることはシニアスタッフも全部理解しているべき、というような構図がある。また、「追いつく」というのは、「1週間もあればこの程度先に進んでいるだろう」というシニアスタッフの期待に基づく表現でもあるので、ジュニアスタッフにしてみれば、進まなければならないというプレッシャーにもなる。

Make Sense
納得できる、というような意味。
"That makes sense"
"That does not make sense"
と毎日連発している。
自分の頭の論理構造の中で、事象について合理的に説明がつかないと気がすまない、ファームにいるのがそんな性質の人々である証左だろう。
自分に都合の悪いことだけでなく、自分に都合の良いことですら、何故かが自分の言葉で説明できないと、どうも落ち着かないらしい。
これは、自分もよく似ている気がする。

Angle
視点、というような意味。
米国のPE業界は、仕事の回し方もある程度標準化されているし、銀行からのファイナンスの条件もどこも似たようなものなので、企業価値算定の計算も、素直にやれば各社概ね同じような数字に落ち着く。
これでは競売に勝てない。
競売で勝つためには、あるいはハズレくじを引かないためには、他社がみていない視点で、独自の示唆(隠れたリスク、自社の他の投資先との協業による収益拡大の可能性、など)を見つけ出さなければならない。
もちろん、実際の入札の局面では、後だしジャンケンあり、の世界なので、売り手側についた銀行がリークしてくる情報をもとに、ほとんど公開オークションのような値上げが行われるが、これにどこまで突っ込むかを、できるだけ合理的な判断のもとに決めようという精神がある。
案件についての独自のAngleは、これの判断材料となる。
よって、あちらこちらの業界レポート、アナリストレポート、あるいは会社側プレゼンテーションの切り貼りのような資料を作ると、君のAngleは何だ、という指摘を受け、撃沈する。

他にももっとあったような気もしたが、私もここに来てすでに5週間弱、あまり気にならなくなってしまったのかもしれない。
聞いたことのない表現をしているのを見かけたら、止めてください。


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経営コンサルタント
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自己紹介:
世の中を素直に見ることが苦手な関西人。
MITスローン校でのMBA、プライベート・エクイティでのインターン、アパレル会社SloanGearの経営、そして米国での生活から、何を感じ、何を学ぶのかー。

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