今年も、あと1時間で終わる。
入学願書提出の正月に始まり、マネジャー昇進、新しいプロジェクト、実弟の結婚、海外での社員研修の講師、留学、それに伴う休職と転居、次女誕生…、と本当にいろいろなことがあった1年であった。
家族も散々振り回してしまったが、よくついてきてくれた。
さっぱりと1年を終えようと、まずは美容院に出かける。
ボストンの中心部にある、日本人美容師がいる店だ。
私が1年最後の客だったらしく、店員もそわそわしている。このあと、従業員皆で大掃除をするらしい。少し汚れた壁は、洗ったり拭いたりするのではなく、ペンキを塗るらしい。Home Depotで買ってきたというペンキが、洗髪台のそばに置かれている。
短めにカットしてもらい、店を出る。
その後は、チャイナタウンでマッサージをしてもらう。日本にいるときには、毎週のようにマッサージをしてもらっていたが、渡米後はまったくご無沙汰している。そのためか、ずっと腰や肩が鈍く重い。このコリを取り除いてもらってから、すっきりと新年を迎えたかった。
先の美容院では、日本式のサービスとして、洗髪後に肩を揉んでくれるのだが、これが実に巧い。どこで習ったのかと尋ね、マッサージの講師役を務めたという女性を紹介してもらった。訪れるのは、その女性のマッサージ店である。
マッサージ店といっても、看板も何もない。教えられた住所は、チャイナタウンの賑やかな一角から5分以上歩いた中国系住民の居住地域だった。「店」はワンルームマンションの一室で、寝台と諸々の関係用具が設えてある。彼女は近くの別のアパートに住んでおり、サービスのときだけここにくる。客は彼女の携帯電話に連絡し、アポを入れ、ここで彼女に会う。なんだか如何わしい感じもしたが、マレーシア出身の華僑だというコロコロと太った中年のオバサンは、変なことをしそうな風にも見えなかったので、お願いすることにした。
パンツ一枚を残して素っ裸になり、寝台に横たわる。
寒い。
タオルを何枚かかけてもらってやっと落ち着いたが、施術の箇所はタオルを剥がすので、やはり寒い。
「やってりゃ、そのうち温かくなるわよ」
とオバサンは意に介する様子もなく、身体にベビーローションを塗ってくる。
そして施術。痛い。ものすごい力である。身体が砕けそうになる。かつて学生の頃にトルコのイスタンブールでマッサージを受けたときのことを思い出す。
首、肩、背中、腰と、上から順に施術していく。
手を抜かず、患部を探って一生懸命ほぐしてくれるし、テクニックはたいしたものなのだが、ときどきたまらなく痛い。
ボストンの街外れの、中国語しか聞こえてこない地域で、裸で横たわって呻いている自分を客観視し、一体自分は何をやっているんだろう、と妙な気持ちになる。
やっと60分の施術が終わったときには、正直ちょっとホッとした気持ちにさえなったが、確かに身体は楽になっていたし、温まっていた。
中華街で人気のケーキ屋でロールケーキを買い、帰宅する。
夕食はやはり年越し蕎麦。中国系のスーパーで買った怪しげな蕎麦だったが、予想に反してなかなか旨かった。
そして既に子供は就寝、年が終わろうとしている。
今頃実家では、家族が集まって麻雀でもしているのだろう(我が家は毎年大晦日は麻雀である)、と想像したが、次の瞬間時差の関係から日本は既に2008年であることに気づき、また妙な気持ちになる。
何はともあれ、皆様本年もお疲れ様でした。
どうぞ良いお年を。
MITスローン校でのMBA、プライベート・エクイティでのインターン、アパレル会社SloanGearの経営、そして米国での生活から、何を感じ、何を学ぶのかー。
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