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「 Washington D.C.... 資本主義の論理 」
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ワシントンD.C.で、昨年敗れた米国大統領選共和党候補のスピーチを聴いた。
演台で話す彼は、60代後半とは思えない存在感と迫力、選挙戦の敗者とは思えない成功者のオーラを放っていた。選挙当時の政治的緊張から解放され、また聴衆も限られた人々であったためか、非常に直接的に、彼の世界観、政治的思想を語ってくれた。

曰く、米国は個人の自由と民主主義を土台にした資本主義の国である。こうした社会における成長の源泉は、競争、インセンティブ、それらによる生産性の向上にある。国や社会を成長させるには、人口を増やすか、一人当たりのアウトプット、すなわち生産性をあげるか、どちらかしかない。生産性をあげるには、より努力や工夫をして、同じ人数でより多くのアウトプットを生み出すか、同じアウトプットをより少ない人数で生み出すか、どちらかしかない。最近は、努力や工夫をせず、生産性もあげることなく、ただ待遇の改善を求める声も多いが、それでは社会の持続的な成長はありえない。生産性の向上は、インセンティブと競争が後押ししてくれる。我々の先祖が米国を建国したときの偉大な判断の一つは、この国を州に分け、それぞれが競争する環境を作り出したことだろう。そのお陰で、それぞれの州が企業や住民の誘致に知恵を絞っている。企業経営と同様、政治や行政においても、データに基づいた合理的な判断をすべきである。企業とは異なり、政府は必要なデータをすべて持っている。ただ残念ながら、それらを信頼に足る精度に整備したり、それらを意思決定に活用したりすることをしていないだけだ。こうしたやり方を少し変えるだけで、これまで想像もしなかったような成果をあげることができる-。

ユーモアを交えながら筋道立てて話すそのスピーチには、個人的には強く好感をもったし、企業経営に関わるものならば、多くが同じように賛同するだろうとも感じた。一方で、多数決を原則とする現在の民主政治では、こうした主張が受け入れられ、彼が国のリーダーとなることは難しいだろう、ということも、改めて強く感じた。

よく2:8の原理とか、パレートの法則とか言われるように、世の中の富の創出や成長の8割は、2割の人々によって実現されるものである。残りの8割の人々は、必ずしも努力が足りない人々ばかりではないだろうが、さまざまな理由で、結果的に多くの富を創出できない。企業や国が成長すれば自分たちも豊かになる、とか、明日の幸福のために今日の時間・労力を投資する、という考え方は、一見当たり前のようにみえて、人類の歴史の中では比較的新しい考え方であり、実際の成功体験がないと、心の底からは受け入れられないものである。前述の8割の人々は恐らく、努力してみても報われなかったり、あるいはそうした機会が身の回りに見当たらなかったりする人々だろう。そしてこうした人々の多くは、競争、インセンティブ、生産性向上の重要性を強調する議論を「勝ち組」の主張と受け取り、支持しないのではないだろうか。決して「間違っている」というわけではなくとも、受け入れられない。そうすると、政治的には負けである。いわゆる貧富の格差が開いてくると、この2割と8割の配分がより先鋭化し、1割と9割になったりして、ますます資本主義の原則を正面から振りかざす議論が政治的に支持されにくくなり、政治がポピュリズムに走りがちになる。一方で経済社会は、南欧諸国や日本をはじめとする多くの国々の財政赤字が象徴するように、より資本主義の原則との矛盾が拡大し、その反動がショックとなって降りかかるリスクが膨らんでいる。この矛盾をいかに解決できるのか。敗れ去った大統領候補の口からは、米国の選挙制度の問題点とその解決策についての意見は聞かれても、残念ながらこうした根本的な矛盾についての意見を聞くことはできなかった。
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経営コンサルタント
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自己紹介:
世の中を素直に見ることが苦手な関西人。
MITスローン校でのMBA、プライベート・エクイティでのインターン、アパレル会社SloanGearの経営、そして米国での生活から、何を感じ、何を学ぶのかー。

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