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「 Deal 2 over ...2本目も終えて 」
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2つ目の案件が、事実上終了した。
今回もまた、おそらく「没」である。

オバマが大統領になった場合、かなりの確率で増税が予想されているが、州によっては今の税率の水準からしてそのインパクトが非常に大きいようで、だったら今のうちに売ってしまえ、ということで、一部のオーナーが企業の売り抜けを急いでいるらしい。今回の案件も、そういう背景で市場に出てきたもの。当然、競争入札。ある投資銀行が音頭をとって、同業界・類似業界の企業や我々のようなPEなど、買収に興味のありそうな先に声をかけて回っている様子。そして一次入札の締め切りが今日の夕方5時。この入札で提示すべき金額を探るべく、先週木曜日から検討を重ねてきた。今の段階ではターゲット企業に関する情報が非常に限られていること、入札金額も拘束力がないこと、そして検討の時間が限られていることから、1つ目の案件に比べると非常にあっさりした、ある意味表面的な検討に終始したが、投資先の強みはどこか、どこに成長機会があるか、というあたりについての仮説はそれなりにもつことができた。

検討の結果をもって、午後5時の締め切りを前に、2時から二人の担当MDたちとミーティング。二人とも、この業界に10年以上いるベテランである。但し、一人はバンカー出身、もう一人はコンサルタント出身で、そういう先入観で見るからかもしれないが、後者の方が質問が細かい。先にやった一つ目の案件での議論とあわせて振り返るに、彼らMDの視線にはある程度共通するポイントがある。以下、具体的に整理してみる。

  • ターゲット企業の業界が今後持続的に収益をもたらすか …要するに、古典的だが、Michael Porterの5 Forcesに沿った見方。特に参入障壁と代替品の脅威を気にする
    • 参入障壁 …おいしいビジネス(つまり収益性が高く、成長していて、金回りも良いビジネス)には、遅かれ早かれ皆がおいしいと感じ、参入してくるのが資本主義の基本原則。その原則を機能させないための構造的理由(例えば法規制、巨大な初期投資、ブランド、技術力・ノウハウなど)があると、MDは喜ぶ
    • 代替品の脅威 …LPがCDにとって代わられたように、あるいはHD DVDがブルーレイ(BD)に敗北して市場から淘汰されたように、誰かが新しい商品を持って出てきて根本的に市場を変えてしまうリスクがあると、投資価値がゼロになりかねないので、そういうリスクがないですよ、ということを証明しなければならない
    • 競争 …その業界にどの程度競合がいて、彼らがどのくらい強力なのか。一番自社にとって都合がいいのは、独占
    • 顧客からの圧力 …特定の顧客への収益依存度が極端に強いと、リスクになるので嫌な感じである
    • 仕入先からの圧力 …今でいう原油のような、特定の原材料の価格変動等に伴うリスクを最小化したい
  • ターゲット企業が今後持続的に成長するための構造的強みをそなえているか
    • どこからどうカネが入ってきて、どう出て行くのか。安定的に収益を生み続ける構造か
    • ターゲット企業は彼らの顧客に対して、顧客が今後も彼らと取引し続けるに足る価値を提供しているか
    • 成長は、①既存顧客への上積み、②誰も手をつけていない顧客の取り込み、③他社からのシェア奪取、の順に難しくなる。①~②だけで十分な成長を得られるか。あるいは③を信じるに足る決定的な強みがあるか
    • 意味のある経費支出がされているか。例えば営業マンが多数いる会社であれば、それら営業マンがちゃんと仕事をしているか(今回の案件の場合、2,000人以上いる営業マンが何をしてるのかよくわからん、というのがMDの不満の一つ)
    • 当面の大きな投資の必要はないか
    • 規制変更、特許失効などの大きな法的リスクはないか
  • 当該案件への投資により、ファンドの投資先構成(ポートフォリオ)全体が特定のリスクに過度にさらされることにならないか

そんなこんなを議論。この日の結論としては、①入札しない、②ムリっぽい金額で一応入札する、③少なくとも二次入札に進めるであろう金額で入札する、という3パターンがありえるわけだが、今回の達した結論は②。ミーティング終了と同時にMD二人がレターに署名をし、その10分後にはレターが投資銀行に送付されていたが、恐らく二次入札はないだろう。
というわけで、案件2本目も実質的に終了。今回はあまり貢献できなかったので、ちょっと不完全燃焼。まあ、仕方ない。


MDとのミーティングを終えて自室に戻ると、デスクの上に給与明細を発見!およそ1年ぶりの給与所得である。やはりカネは払うより貰うほうが嬉しい。中には明細とともに小切手が同封されていた。さっそく通りの向かい側にあるBank of Americaに行き、口座に振り込む。ATMで口座情報を確認すると、残高は一気に倍増。所得があるってすばらしい。

…と、ふとみると、次女名義で預けてあった定期預金が、保留状態になっている。年始に購入した4ヶ月定期が1ヶ月ほど前に満期になったので、新たに9ヶ月定期に組み直したのだが、どうもそれが処理されていないらしい。直ちに同支店内にある投資商品を扱う窓口に問い合わせてみた。すると、
「以前手続きしたのはここの支店で私とやったのか、それとも他の支店でやったのか?他の支店でやったのなら、私はまったく関知しないし、いずれにしてもはっきりしていることは、今の時点で過去に振り返ってできることは何もないということ。できるのは、今日からそのカネをどうするか、という相談だけだ」
…出ました、米国お得意の低品質高圧力営業。しかし、1年もこういうのを相手にしていると、こちらも感覚が鈍ってしまっているのか、かなり諦めの気持ちである。はいはい、わかりましたよ、ととりあえず引き出し自由の9ヶ月定期に切り替えてさっさとサインする。担当者は、「わかればよろしい」と自らの勝利に満足した様子。こんなどうしようもない連中でも、米国の大手中の大手である銀行(=Bank of America)でそれなりのポジションについているのだから、たいしたもんである。給料も並以上にもらっているだろう。これと比較すれば、PEの人々の給料が驚くほど高いのも、少しは納得できるのかもしれない。

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経営コンサルタント
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世の中を素直に見ることが苦手な関西人。
MITスローン校でのMBA、プライベート・エクイティでのインターン、アパレル会社SloanGearの経営、そして米国での生活から、何を感じ、何を学ぶのかー。

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