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「 McCoy Tyner ...巨匠の70歳記念講演 」
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懸案(?)だった娘の誕生会も無事終了し、パーティーの残り物のご飯をタッパに詰めて、ニューヨークへとクルマを走らせた。
もともとは、ロックフェラーセンター前の有名な巨大クリスマスツリーを見たい、という非常にミーハーかつ素朴な目的で企画された二泊三日の小旅行であったが、期せずして妻の親友が日本から訪ねてきてくれることになり、ちょうどよいのでニューヨークで会おうということになった。
朝、特に時間も決めず、何となく家を出て、4時間半ほどでマンハッタンのホテルに到着。これくらいのドライブだと「近いものだ」と感じるようになってしまった。ちょっと休憩してロックフェラーセンターに向かい、クリスマスツリーの前で妻の友人と再会。不況とはいえ凄い人ごみで(といっても集まっている人の大半は米国人以外の観光客だったようだが)、携帯電話なしには会えない、渋谷ハチ公前以上に無謀な待ち合わせだったが、何とか感動の再会。
「アメリカらしいものを」という彼女の希望で、夕食はステーキ。やっぱり魚に比べて肉の味の違いというのはわかりにくいと思う。

しかし、いくら肉の味の違いがわからない素人でも、この日の夜に聞いたジャズピアニストMcCoy Tynerの演奏には、違いを思い知らされた。
折角のニューヨークなのでジャズでも・・・、と思って目ぼしいライブハウスのスケジュールを調べていたら、Blue NoteでMcCoy Tynerの70歳記念講演が!5日連続の講演で今日14日が最終日!即行で予約しておいた。
行ってみると、さすがに大盛況。予約を持たずにダメもとで来たファンを含め、人がライブハウスに入りきらず、通りに溢れている。多少出遅れた感もあったが、一人で行ったので運よくピアノのすぐそばの席があてがわれた。テーブルを挟んで対面に座った初老の女性は、Cape Codからこのために駆けつけたという。日本人と思われる客の姿もちらほらと目につく。隣に座った若者も、日本人だった。ニューヨークにタップ・ダンスを勉強に来ている、ということで、Tynerではなく、ゲスト出演するタップ・ダンサーのSavion Gloverを見に来ていた。
飲み物を注文して、彼らと歓談していると、まもなく開演。
Tynerのバンドメンバーがまず登場し、同じくゲスト出演するギタリストのJohn Scofieldが紹介され、そしてタイミングを見計らってTynerの名前がコールされると、彼が楽屋のある二階からゆっくりと階段を下りてきた。さすがに70歳、足元が多少おぼつかないのか、女性にエスコート(というよりサポート)されている。敬意を表してスタンディング・オベーションが彼を迎える。ピアノ椅子に座り、二言三言挨拶をして、バンドメンバーを改めて紹介した後、早速Manalyucaから演奏開始。Tynerの弾き出すリズムに、ギターやサックスが乗ってゆく。登場したときには、その頼りない姿に「おいおい大丈夫か」とさえ思ったが、やはり演奏が始まると若さと力強さが戻ってくる。トレードマークの高く振り上げられる左手は、この日も目線の高さか時にはその上まで振り上げられて、鍵盤を制圧していた。右手の指も、鍵盤を掴むようにして音を弾いてゆく。僅か2メートルほどの距離で見ていたせいもあったかもしれないが、自分の父よりもずっと高齢の人間とは思えない迫力であった。
3曲ほど演奏したところで、Savion Glover登場。タップダンスをこういう場でみるのは初めてで、一体何が繰り広げられるのだろう、と思っていたが、タップが打楽器としてバンドに加わってセッションを行っていた。Tynerに負けじとエネルギーを発散させながら、身体中を使ってタップ板を踏み、リズムを紡ぎ出してゆく。凄いテクニックとパワーである。2曲ほどタップを踏んだ頃には、汗が迸っていた。
Gloverが退場してからさらに数曲演奏し、それでライブは終了。
会場からは再びスタンディング・オベーションが送られた。
身体には、まだTynerの奏でたリズムが流れていた。

それにしても格好の良い70歳である。上手い、速い、高い、凄い。
あんな70歳になれたらなあ、と、遠い先のことを考えてしまった。
精進精進。

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HN:
Shintaro
性別:
男性
職業:
経営コンサルタント
趣味:
旅行、ジャズ鑑賞
自己紹介:
世の中を素直に見ることが苦手な関西人。
MITスローン校でのMBA、プライベート・エクイティでのインターン、アパレル会社SloanGearの経営、そして米国での生活から、何を感じ、何を学ぶのかー。

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