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「 Commencement …卒業式 」
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いよいよ、卒業式の日となった。

ハーバード大学などの大型校が学部ごとに卒業式を行うのに対して、比較的規模の小さいMITでは、全校まとめての卒業式が執り行われる。専攻の違い、学士・修士・博士などの学位の違いに関わらず、全卒業生がMITの象徴ともいうべきドームの前の広場に集まって、卒業証書を授与されるのである。ただ、いくらMITの学校規模が比較的小さいといっても、それだけ集まれば卒業生の数は優に2,000名を超える。これが一人ずつ名前を呼ばれて卒業証書を受け取るわけで、必然的に式は長時間に及ぶ。

朝8時頃、まず体育館に集合。全員学位応じて指定のガウンと帽子(あわせてRegaliaというらしい)を着用。見知った顔の同級生も、ずいぶんと違って見える。ガウンの下は、当然ワイシャツにネクタイ着用…と思ったら、そうでもない。ノーネクタイは珍しくなく、Tシャツ、短パンにサンダル履き、という輩までいる。このあたりも、MITらしい。全員集合の後、工学部を先頭に、学部ごとに一列で卒業式会場に向かう。途中、街と大学の中心を抜けるマサチューセッツ通りを一部通行止めにして、通りの真ん中を歩くあたりから、ちょっと誇らしい気分になる。そしてそれらしい音楽と拍手の中を、ドーム前の芝生の広場に設けられた卒業式会場に入場していくところは、いくら斜に構えてみても、やはり晴れやかなものである。

しかし、これに続くいくつかのスピーチには、あまり期待していなかったとはいえ、がっかりさせられた。学校トップのスピーチは、ほぼ毎年話しているであろうMITの実績に、足元の不況の話題をくっつけただけの、新味のない内容であったし、ゲストスピーカーとして登場したマサチューセッツ州知事のスピーチは、そっくりそのまま他の学校にもっていっても使えるような、MITとの繋がりに乏しい内容であった(彼自身、「これが自分にとって4回目の卒業式スピーチだ」と語っていた)。あまりにも退屈だったためか、スピーチの最中には何処からともなく卒業生の席上に舞い込んできたビーチボールを、皆でトスしてまわす一幕もあった。こうした内容を知った上での予防線なのか、一連のスピーチに先立つ開会の辞では、司会を務める学校幹部から「我々は君たちがこれから話すスピーチに必ずしも興味がないことも、その内容を今後ほとんど覚えていないであろうことも知っているが、それでもスピーチはやる」という実に的を得た(?)ブラック・ジョークがあったが、それにしてもせっかく全校一斉にやるのだから、もう少し心に響くメッセージを送ってほしいものだ。

スピーチの後は、いよいよ卒業証書の授与。但し、歴史の古い学部から順番に渡されるため、50年ほどの歴史しかないスローンは、かなり後回し。証書の授与が始まってから自分の名前が呼ばれるまで、1時間半ほどかかっただろうか。それでも、授与の瞬間はやはり嬉しいものである。10年ほど前に卒業した大学の卒業式がどんなだったか、既にはっきりとは覚えていないが、この日の様子は、きっと長い間覚えているように思う。
全員分の卒業証書授与が終わると式は終了し、流れ解散のように学生とその関係者は各地に散っていく。概ね学部ごとに分かれてランチ会が設定されているので、多くの学生はそこに移動していく。スローンは改装された付属図書館前のテラスにケータリングが用意されたが、不況の影響からか、昨年に比べて料理や飲み物の内容は格段に落ちていた。そして、それが理由というわけでもないのだろうが、卒業式だけに出て、ランチ会に来ない同級生が少なくなかったことも、残念だった。日本人的には、ここで別れの挨拶をしたり、写真を撮ったりしたいような気もするが、ガイジンは割りとこの辺の感覚があっさりしているのかもしれない。というわけで、ランチ会に参加した日本人同級生で集まって、記念写真を撮影。彼らを含め、数は決して多くないが、今後も付き合いを続けていきたい仲間ができたことは、本当に良かったと思う。

かくして卒業式も終了。2年間の留学生活も、後は寮の片付けと帰国を残すのみである。
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Shintaro
性別:
男性
職業:
経営コンサルタント
趣味:
旅行、ジャズ鑑賞
自己紹介:
世の中を素直に見ることが苦手な関西人。
MITスローン校でのMBA、プライベート・エクイティでのインターン、アパレル会社SloanGearの経営、そして米国での生活から、何を感じ、何を学ぶのかー。

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