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「 High fever ...次女との繋がり 」
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生後5週間の次女が初めて高熱を発した。

深夜、様子がおかしいと感じた妻が熱を測ると、体温は39度を越えていた。
MIT Medicalの救急に電話をすると、人肌より少し冷たいくらいの水に入れて身体を冷やし、万能風邪薬と信じられているTylenolを飲んで、薄着をさせて様子をみろ、とのこと。いきなり水にぶち込むというのは何とも乱暴な気がしたが、かといって対案があるわけでもなく、言われたとおりにする。1時間後くらいに再度測ってみると、熱は38度弱まで下がっていた。MIT Medicalに報告すると、ではそのまま様子をみなさい、厚着をさせないように、ということだったので、言われたとおりにして就寝する。

ところが朝、起床して次女の体温を測りなおすと、また熱が上がっていた。
やはり水風呂荒療治ではその場しのぎの解決にしかならなかったのか…。
そう思っていると、MIT Medicalから電話がかかってきた。救急対応の医師ではなく、小児科の医師(看護婦?)からであった。救急に話した内容は既に伝わっていて、今朝の体温を伝えると、ボストンのChildren's Hospitalに急患として連れて行け、という。何でも、感染症の恐れがあるが、乳幼児の感染症を検査する設備がMIT Medicalにはないらしい。
感染症、などといわれると、菌が子供の身体を蝕み、脳機能などを侵食して取り返しのつかないことになるのでは、とろくでもない想像をしてしまう。すぐに着替えてジュースを一杯だけ飲み、未明から降る雨の中を、次女だけを乗せて車を病院まで走らせた。

10分ほどで病院に着くと、救急外来を訪れ、事情を話す。
自宅に電話してきたMIT Medicalの医師は「Children's Hospitalには自分から事情を伝えておくから」と言っていたが、どうも何の連絡も着ていない様子。もっとも、こうした連絡不行き届きにはこの国に来てから慣れてしまっており、驚きもしない。とにかく、早く診てくれとだけ主張する。
看護婦に検査室に通され、事情を説明し、体温、脈拍などを計測されて、別の部屋に移される。
また別の看護婦が現れ、事情を訊くので説明すると、「一分待って」と言って去っていく。
今度は事務記録係を名乗る女性が現れ、昨夜からの経緯や自分たちの住所、生年月日、保険情報などを細かく聞いて、パソコンに打ち込んで去っていく。
さらに別の事務記録係が来たので、今オマエの同僚に伝えたぞ、というと、そそくさと退散。
そしてさらに別の看護婦が現れ、"So, what made you to visit us today?"と訊いてきたので、
「貴様ら、普段しゃべってばっかりいるくせに、肝心な患者の情報は共有せんのか?情報をパソコンに打ち込むことが目的になってしまってて、誰も見てないのと違うか。今日この病院に来てからその質問をしてきたのは貴様で5人目やぞ、その間約30分、何の診察も治療もしてもらってないやないか!」
と喚くと、看護婦はたじろぎ、以降私の呼び方が"You guys"から"Sir"に変わった。

看護婦は、感染症の恐れがある場合の定型の検査として、血液検査2種類と尿検査を行うことを説明。
まずは検尿をしたいが、彼女は尿が出るか、と訊いてきた。そんなこと言われても知らんよ、と思いながら、probably、と答えると、出ないかもしれないので、スポイトで抽出しますがいいですか、と訊く。じゃあ最初からそうしろよ、と思い、as you like、とだけ答えると、看護婦はスポイトを持ってきて次女に挿入し尿を採ろうとした。と、その瞬間、次女は噴水のようにオシッコをし、看護婦に浴びせかける。よしよし、もっとやれ、とほくそ笑んでしまった。

尿は十分すぎるほど採れたが、血液検査では苦労した。太りすぎなのか知らないが、血管が浮き出てこないので旨く採血できないらしい。看護婦は何度かトライして失敗すると、彼女は脱水症状気味で血圧もあまり高くないので、血管が浮き出てこず採血できる状態ではない、と、あたかも最初から知っていたように結論付け、これを飲ませて水分補給しなさい、と調合乳を持ってきた。

ミルクを与えると、凄い勢いで飲んだ。あっという間に2オンス(60グラム弱)入りのボトルを一本飲みきり、まだ欲しいと泣いている。廊下にいた別の看護婦に、同じものを追加で持ってきてくれ、というと、最初の看護婦に伝えておく、という。10mほど歩いたナースステーションにあるのだから、オマエが行けばいいだろうが、と思ったが、ちょっとガマンしてみる。
検査室の中で待っていると、係りの看護婦が歩いてくる音が聞こえる。先ほどミルクの追加を頼んだ看護婦が呼び止める。我々の要求を伝えるのかと思いきや、
「こないだのお店、どうだった?最高だったでしょう?」
「ありがとう、とっても素敵だったわ、彼も気に入ってくれて、最高だったわ」
「私の言ったデザート、食べてみた?」
「もちろん!ああ、あの味、言葉にできないわ・・・」
な、何の話をしとるんだ、コイツらは??
そして5分ほどおしゃべりをした挙句、
「そういえば、あなたの患者、何か欲しいって言ってたわよ」
思わず検査室の中から、
「ミルクや、ミルク!箱ごともって来い」
と叫んだ。

ミルクは飲んだが、看護婦は依然として血管を見つけられない。
「…1時間ほど待ちましょう」
と場当たり的な言葉を残して去っていく。
1時間後、やはり見つけられない。遂に、
「どうやら自分には無理なので、ドクターにやってもらいます」
ということになった。
そして、暫くしてドクターが現れると、まったく理由はわからなかったが、自分が採血するためには別の部屋に移す必要があります、と告げて、娘を連れて行こうとする。どのくらい時間がかかるのか、と訊いたら、20分、ということだった。何でもすぐに1分とか1秒とかいう国なので、20分と言われると逆に信憑性を感じたが、結果的には1時間しても帰ってこない。心配になって娘を探しに行くと、別の看護婦が連れて行ってくれた部屋で、娘は放置されていた。抱きかかえて、ナースステーションに行き、係りの看護婦に事情を尋ねる。すると、ドクターでもやはり採血できなかったので、今採血のエキスパートを呼んでいる、ということだった。

このころには、呆れてモノがいえない状態に陥っていた。
最初の検査室に娘を連れて戻り、待つうちに二人とも寝てしまった。
どのくらい時間が経っただろうか、「エキスパート」が現れた。
部屋の明かりを調節し、最初に腕で採血を試み、次に足でやってみて、巧くいかないと最後はコメカミのあたりで採血して、見事に規定量の血液を採取して、去っていった。
やはり企業社会と同じで、米国はどこでも、ほんの一握りの超優秀な人間と、あまりにもたくさんの信じられないくらい「使えない」人々が共存するのだと、改めて思い知らされた。

それからさらに待つこと2時間、病院に着いたときは10時になっていなかった時計の表示が17時近くになろうとする頃、看護婦が現れた。
曰く、今のところは検査の結果に問題はないが、検体を48時間培養してみないと、はっきりしたことは言えない、今日のところは一番緩く一般的な抗生物質を注射するので、それで帰ってあとは様子を見てほしい、とのこと。48時間以内に、検体から感染症の菌が発見されたら、その時点ですぐに連絡するので、入院の準備をしておいて欲しい、ということだった。

注射をうってもらい、身支度を始める。
窓のないJRの「日勤部屋」のような部屋で、丸一日閉じ込められた疲労が、どっと押し寄せてくる。
と、本日初登場の若い看護婦が現れて、最後に体温と脈拍だけ測る、という。
計測された体温は、37.2度。
顔色も良い。
何だか良くわからんが、回復したようであった。
釈然としない思いが残ったが、まあ体調が良くなったなら結果オーライである。また余計な菌を院内感染でもらわないうちに、そそくさと帰った。

米国人の怠惰さ、非効率さと格闘した一日であったが、考えてみると次女の出産以来、二人で長時間を過ごした最初の機会であった。
ほぼ一日中抱っこをしていた腕はだるくなっていたが、次女との親子の繋がり、何より自分のこの子に対する親としての自覚は、昨日よりも深まったように思う。
子供が病気にならないと親の自覚が深まらないというのはそもそも問題があるが、もっと自分を大切にしろ、という子供から私へのメッセージだったと思い、今日の気持ちを忘れないようにしたい。

最後に、当然ながら、Children's Hospital Bostonはオススメしません。

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経営コンサルタント
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旅行、ジャズ鑑賞
自己紹介:
世の中を素直に見ることが苦手な関西人。
MITスローン校でのMBA、プライベート・エクイティでのインターン、アパレル会社SloanGearの経営、そして米国での生活から、何を感じ、何を学ぶのかー。

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