自動車の具合が悪いので、修理に行ってきた。
米国に来てから半年、いやそれ以前に仕事で来たときの経験を含めても、この日の修理サービスは、米国で体験した顧客サービスの最も優れた事例の一つといえるものであった。
8月に中古で買ったVolvoだが、左にハンドルをきると、キュルキュルと異音がした。
購入したディーラーは自宅から20マイルほど北に離れており、ちょっと修理に預けて帰ってくるというわけにもいかないため、隣町のAllstonにあるVolvoのディーラーを訪れることにした。
Boston Volvo Villageというディーラーで、New England地区では最も古いVolvoのオフィシャルディーラーらしい。
ホームページを通じて予約してあった午前9時半にディーラーの工場を訪ねる。
自動車を係員に渡して、受付のカウンターに行き氏名を告げると、担当の男性がカウンター越しに症状を簡潔に尋ねてくる。こちらが話すと、それをパソコンでデータベースに入力してゆく。調べてみないとはっきりしないが、今日の夕方には修理も含めて終わると思う。いずれにせよ、一旦車は預からせて欲しい、とのことだった。5分ほどで彼との会話は終わり、振り向くともう車は修理待ちの駐車場に回送されていた。
最寄の地下鉄の駅までの送迎サービスがあるというので、待合室で待つ。
待合室は簡素だがそれなりに快適。水やコーヒーが用意され、液晶の大型テレビや、キッズルームまである。
20分ほど待っていると、送迎の希望者の方はこちらへ、と男性が呼びに来たので、着いていく。
恭しく案内されたのは、Volvoのセダンをロング・リムジンに改造した黒塗りの車であった。運転席と助手席の後部に、向かい合わせに最大6名が座れるようになっている。
このとき利用者は私一人。革張りの黒いシートで、ちょっといい気分である。
最寄の駅に行くのも自宅にいくのも距離的には変わらないので、どうせなら自宅まで送ってくれないか、と頼んでみたら、あっさり了承してくれた。
11時半頃電話で連絡があり、パワーステアリングの一部と排気管の一部に不具合があること、部品の交換が必要で費用が370ドルほどかかること、が告げられた。すぐ他に選択肢もないので、了解する。
14時頃、修理が終わったのでいつでも来てくれ、との連絡。
16時15分に、MITの近くの消防署前で、例のリムジンがピックアップに回る、とのこと。
16時15分、指定された場所に行ってみると、ほぼ時刻どおりにロング・リムジンが現れ、ディーラーまで快適に運んでくれる。
到着すると、作業内容が簡単に説明され、料金を払って手続き終了。
工場の前に車が回送されてきて、引渡しとなる。
滞在時間は5分にも満たない。
泥汚れが酷かった車は、綺麗に洗車されていた。
迅速、丁寧、きちんとした説明、そしてロングリムジンに代表される「ちょっとリッチな」接客。
いずれもなかなか米国でお目にかかることができないものである。
日本にもって行っても、十分競争に耐えうるサービス水準かと思う。
請求金額の工賃は確かに高かったが、これだけサービスがしっかりしていれば、十分選択肢になり得る。
リピートしようと思う。
実際、朝訪れた際も、夕方訪れた際も、他にも大勢の顧客がいた。
パスポートに続き、やればできるじゃないか、という気持ちである。
なぜこれがあまり水平展開されないのかが、依然として疑問ではあるが…。
MITスローン校でのMBA、プライベート・エクイティでのインターン、アパレル会社SloanGearの経営、そして米国での生活から、何を感じ、何を学ぶのかー。
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