「 Tanzania Trip 7 …スパイスもココナツも 」
ザンジバル島はスパイスで有名。
アラブ人、そして英国に支配されていた時代、奴隷と並ぶ主力貿易商品は、象牙とスパイスであった。奴隷と象牙はもはや貿易商品として取り扱われることはないが、スパイスは依然としてこの島の特産品であり、東アフリカや中東、インドなどにも輸出されているらしい。多種多様なスパイスが生産されている農園は、観光客の人気スポットにもなっている。
ザンジバル島二日目は、島の西にあるストーンタウンから、さんご礁に囲まれたビーチのある島の東側へと移動する。その移動の途中に、スパイス農園を訪ねてみることにした。昨日空港からホテルまで乗せてもらったジョンという運転手に頼んで、スパイス農園経由で東海岸のホテルまで、スパイス農園に立ち寄る分の追加料金なしで行ってもらうように話をつけた。この不景気、観光客も少ないので、お互い悪い取引ではない。
連れて行ってもらったスパイス農園は、ちょっと胡散臭さの漂う、ジャングルのようなところ。かつて農園だったが今は離農したところを、勝手に公開してカネを取っているのではないかという気もしたが、案内役として紹介された男はそれほど悪い人間でもなさそうだったので、一応信用して着いていく。
車を停めたところから2-3分行ったところで立ち止まると、案内の男が傍らの木の葉をちぎって、匂いを嗅がせてくれた。匂いだけではわからなかったが、手にとってみると黄色い色がつく。ターメリックの木だった。容器に入った粉末のターメリックは見たことがあるが、こうして生でみると、まったく印象が違う。さらに雑木林のような周辺の歩きながら、生姜、シナモン、香水のもととなる花、口紅のもととなる植物などを見てゆく。どれもちょっとちぎって匂いを嗅がせてくれるのだが、香りの輪郭が非常に鮮やかで、清々しい。そしてどれも実際に木になっている姿を見るのは初めてのものばかり。
コショウの実が赤いというのも、初めて知った。噛んでみたが、刺すように辛かった。
一通り回ったところで、少量ずつにパッケージされたスパイスの販売。まあお約束なので、多少買い求める。
そうしているうちに、辺りになっているココナツの木を見ながら、この木に自在に登ってあの実を取ってくる人がいるんだが見てみるか、と案内の男が聞いてきた。折角なのでお願いすると、小柄ながら筋肉の発達した男が徐に一本の木に近づいていって、その幹にパッと飛びついた。
そしてあっと思う間もなく、男は凄い勢いで木を登り始めた。「空を飛ぶように軽々と登っていくので、彼はミスター・バタフライと呼ばれている」ということだったが、その様子はバタフライ(蝶)というよりはサル。
木を登りきったところでココナツの実をいくつか切り落とし、更にまだ余裕があるのか、木にしがみついたまま歌ったり踊ったりし始めた。人間業とは思えないパフォーマンスで、緊張して固まっていた娘からも笑顔がこぼれた。歌いながらスルスルと木を降りてきたミスター・バタフライは、切り落としたココナツの実を拾うと、鉈のように刃渡りの広いナイフで実の一角を切り落とし、中のジュースが飲みやすいように加工してくれた。
炎天下にあったにもかかわらずジュースの温度はそれなりに低く、自然な甘みと多少の炭酸が溶け込んでいて、喉の渇きを癒してくれた。新しいものには慎重な長女も、面白いオジサンのススメに従って恐る恐る飲んでいたが、こちらは口に合わなかった様子。
都合1時間ほど滞在していたが、入場料のようなものはない。案内の男やバタフライさんのサービスへの対価はチップだけなのだが、私のように日本の仕組みに慣れ過ぎた人間には、こういう仕組みはやはりなかなか馴染みにくい。一応去り際に握手をしながらそれぞれの人間に小額のチップを渡したが、渡しながら相手の顔色を伺ってしまい、どうも具合が悪かった。いっそ言われただけ払うから入場料を取ってくれ、と言いたくなる。ただ、後で運転手のジョンに聞いたところでは、彼の家族四人の一ヶ月の生活費は、家賃や子供の学校の費用など全て含めて総額600ドル、つまり単純平均で一人一日5ドル。タンザニアの中では比較的生活水準の高いザンジバルにあって、彼の家族は「中の上」クラスであろうから、多くの人は一日2-3ドルの生活というところか。そうした相場観からすれば、我々が払う「小額のチップ」も、彼らからすれば十分意味のある金額なのかもしれない。
午後3時頃、途中の酷い悪路を越えて、車は目的のホテルに到着。客室はすべて「離れ」で全16室しかなくこじんまりとしているが、全ての部屋が白い砂浜、そしてその向こうの青い海へと繋がっていて、絵のように美しい。
タンザニア旅行の最後の2泊3日、ゆっくりと過ごせそうである。
アラブ人、そして英国に支配されていた時代、奴隷と並ぶ主力貿易商品は、象牙とスパイスであった。奴隷と象牙はもはや貿易商品として取り扱われることはないが、スパイスは依然としてこの島の特産品であり、東アフリカや中東、インドなどにも輸出されているらしい。多種多様なスパイスが生産されている農園は、観光客の人気スポットにもなっている。
ザンジバル島二日目は、島の西にあるストーンタウンから、さんご礁に囲まれたビーチのある島の東側へと移動する。その移動の途中に、スパイス農園を訪ねてみることにした。昨日空港からホテルまで乗せてもらったジョンという運転手に頼んで、スパイス農園経由で東海岸のホテルまで、スパイス農園に立ち寄る分の追加料金なしで行ってもらうように話をつけた。この不景気、観光客も少ないので、お互い悪い取引ではない。
連れて行ってもらったスパイス農園は、ちょっと胡散臭さの漂う、ジャングルのようなところ。かつて農園だったが今は離農したところを、勝手に公開してカネを取っているのではないかという気もしたが、案内役として紹介された男はそれほど悪い人間でもなさそうだったので、一応信用して着いていく。
車を停めたところから2-3分行ったところで立ち止まると、案内の男が傍らの木の葉をちぎって、匂いを嗅がせてくれた。匂いだけではわからなかったが、手にとってみると黄色い色がつく。ターメリックの木だった。容器に入った粉末のターメリックは見たことがあるが、こうして生でみると、まったく印象が違う。さらに雑木林のような周辺の歩きながら、生姜、シナモン、香水のもととなる花、口紅のもととなる植物などを見てゆく。どれもちょっとちぎって匂いを嗅がせてくれるのだが、香りの輪郭が非常に鮮やかで、清々しい。そしてどれも実際に木になっている姿を見るのは初めてのものばかり。
コショウの実が赤いというのも、初めて知った。噛んでみたが、刺すように辛かった。
一通り回ったところで、少量ずつにパッケージされたスパイスの販売。まあお約束なので、多少買い求める。
そうしているうちに、辺りになっているココナツの木を見ながら、この木に自在に登ってあの実を取ってくる人がいるんだが見てみるか、と案内の男が聞いてきた。折角なのでお願いすると、小柄ながら筋肉の発達した男が徐に一本の木に近づいていって、その幹にパッと飛びついた。
そしてあっと思う間もなく、男は凄い勢いで木を登り始めた。「空を飛ぶように軽々と登っていくので、彼はミスター・バタフライと呼ばれている」ということだったが、その様子はバタフライ(蝶)というよりはサル。
木を登りきったところでココナツの実をいくつか切り落とし、更にまだ余裕があるのか、木にしがみついたまま歌ったり踊ったりし始めた。人間業とは思えないパフォーマンスで、緊張して固まっていた娘からも笑顔がこぼれた。歌いながらスルスルと木を降りてきたミスター・バタフライは、切り落としたココナツの実を拾うと、鉈のように刃渡りの広いナイフで実の一角を切り落とし、中のジュースが飲みやすいように加工してくれた。
炎天下にあったにもかかわらずジュースの温度はそれなりに低く、自然な甘みと多少の炭酸が溶け込んでいて、喉の渇きを癒してくれた。新しいものには慎重な長女も、面白いオジサンのススメに従って恐る恐る飲んでいたが、こちらは口に合わなかった様子。
都合1時間ほど滞在していたが、入場料のようなものはない。案内の男やバタフライさんのサービスへの対価はチップだけなのだが、私のように日本の仕組みに慣れ過ぎた人間には、こういう仕組みはやはりなかなか馴染みにくい。一応去り際に握手をしながらそれぞれの人間に小額のチップを渡したが、渡しながら相手の顔色を伺ってしまい、どうも具合が悪かった。いっそ言われただけ払うから入場料を取ってくれ、と言いたくなる。ただ、後で運転手のジョンに聞いたところでは、彼の家族四人の一ヶ月の生活費は、家賃や子供の学校の費用など全て含めて総額600ドル、つまり単純平均で一人一日5ドル。タンザニアの中では比較的生活水準の高いザンジバルにあって、彼の家族は「中の上」クラスであろうから、多くの人は一日2-3ドルの生活というところか。そうした相場観からすれば、我々が払う「小額のチップ」も、彼らからすれば十分意味のある金額なのかもしれない。
午後3時頃、途中の酷い悪路を越えて、車は目的のホテルに到着。客室はすべて「離れ」で全16室しかなくこじんまりとしているが、全ての部屋が白い砂浜、そしてその向こうの青い海へと繋がっていて、絵のように美しい。
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性別:
男性
職業:
経営コンサルタント
趣味:
旅行、ジャズ鑑賞
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世の中を素直に見ることが苦手な関西人。
MITスローン校でのMBA、プライベート・エクイティでのインターン、アパレル会社SloanGearの経営、そして米国での生活から、何を感じ、何を学ぶのかー。
ご意見、ご感想は↓まで
sloangear★gmail.com
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