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「 Latin America trip 7 Easter Island 2 ...捨てられたモアイと、それに依存した島経済と 」
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朝から車で島をまわる。舗装されていない道が多く、しかもマニュアル車なので、運転はすべてSteve任せ。私は専ら地図をみる。彼は運転は私より上手いが方向音痴なので、ちょうど良い役割分担である(とはいっても、島にはそれほど沢山道があるわけではないが)。
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島の西端にあるハンガ・ロア(Hanga Roa)村を発し、荒波の打ちつける南海岸を東へと進む。このあたりのモアイは、全て16-17世紀のいわゆる「モアイ倒し戦争」*で倒されたままの姿で放置されている。モアイの目に宿る霊気を恐れてうつ伏せに倒されたものが多く、アフ(祭壇)から波を背にして丘の方に前のめりに倒れている。頭に載せられていたプカオといわれる装飾は散乱し、モアイの本体も頭部が折れたり、土に埋もれたり、風化が進んで崩れたりしているものが少なくない。何もいわずに何百年も土に顔を伏せているモアイの姿は、実に物悲しい。中には子供を表していたかと思われるモアイもあり、尚更不憫に思う。
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その後、モアイ本体の切り出し・加工場となっていたラノ・ララク(Rano Raraku)という山へ。
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岩山が既に半分近く削り取られており、完成したものの行く宛てのなかったモアイが無数に放置されている。運搬途中で放置されたと思われる横倒しのものもあるが、多くは山の斜面に突き刺したように無造作に林立している。
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中には実に巨大なものもあり、最大のものは全長20mを超える。
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さらに石切り場には岩壁を削って造成中のモアイも放置されている。モアイ信仰に基づく社会システムが突如として終焉したことが、いかにもよく伝わってくる。
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山からは、15体のモアイが並ぶ島最大のアフであるアフ・トンガリキ(Ahu Tongariki)が見える。
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四国の大手クレーンメーカー、タダノ社の協力で再建された遺跡である。近づいてみると、実に巨大。今は誰もいないこの島の南東部にも、かつては大きな集落があったのだろう。そこから北に行ったアナケナ(Anakena)ビーチの白砂に立つモアイ群にも同じことを思う。
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狭い島ながら盛衰の歴史があり、悲しいようでも滑稽なようでもある。ビーチでは真っ黒に日焼けした(あるいは元々黒いのかもしれないが)子供たちが元気に泳いでいた。モアイは打ち捨てられたが、海の民として生きる文化・DNAは今も引き継がれているらしい。

村に戻り、一休みした後は、カヤックを借りて海に出てみた。島にこれと言って産業がなく、また周りに島がないため(サンティアゴから西に3,700km、タヒチから東に4,000km、最寄の島まででも415kmも離れている)、海はどこまでも澄んでいる。あまりの碧さに吸い込まれそうになる。場所によっては透明度が40mにも達するらしく、ダイビングを楽しむ人の姿があちこちに見られる。波に浮かんでいると、細かいことが本当にどうでも良くなってくる。これから遥々南米大陸の南端パタゴニアまで旅をしようとしているのが、我ながら信じられなくなったりする。

夜には島に移り住んだフランス人の経営するレストランへ。島一番の高級レストランらしいが、よく繁盛している。でっぷりと太ったフランス人は、島出身の妻に料理をやらせ、自分はホールでゆったりと構えている。気の良さそうな米国人の中年4人組がデザートだけ食べたいといって来店し、「ここはレストランだ。米国ではレストランにデザートを食べに行くのかもしれないが、フランスではレストランは食事をするところだ」とにべもなく追い出されていた。確かに味は良かったのだが、大した生き方である。

宿に帰ると、空は満天の星。よく晴れた空で、前日照り輝いていた月もなぜかなく、文字通り降るような星空である。宿の庭に椅子を並べて、ビールを飲みながら、飽くことなく見上げていた。



* 島民の増加と、モアイを搬送する丸太獲得のための森林伐採により、島の食糧難が深刻化し部族対立が激化、各部族の先祖の霊が宿るといわれるモアイの力を恐れて、抗争の過程で各部族が他部族のモアイを倒していったと言われている。結果として島中のモアイが倒され、また抗争の後に島を支配した戦士階級が鳥人信仰といわれるモアイとは異なるカルトを信奉したため、20世紀に文化保存・観光開発のために復元されるまで、モアイが起こされることはなかったらしい。


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経営コンサルタント
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世の中を素直に見ることが苦手な関西人。
MITスローン校でのMBA、プライベート・エクイティでのインターン、アパレル会社SloanGearの経営、そして米国での生活から、何を感じ、何を学ぶのかー。

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