今日は授業がない日(正確には、自分が設定していないだけだが)であったが、Sankaty Advisorsから、MDのStuart Davies氏が来るというので、聴講してきた。
久しぶりのゲストスピーカー講演である。
Sankatyは投資ファンドBain Capitalの関連会社で、高利回り債券への投資では米国でもトップクラスの業績をあげている。現在の運用資金は約2.5兆円、東証一部上場大手企業の総資産規模に匹敵する金額である。
講演内容は、ある程度覚悟していたことだが、難しかった。
大まかに言うと、全体の話のうち、語学的に理解できた(耳に入ってきた)のが7割、そのうち内容として理解できたのが半分強、というところで、全体のうち理解できたのは4割程度の歩留まりだったと思う。
理解した範囲での主なポイントは、
- 「勝者」を見つけて投資する株式投資と異なり、債券投資の肝は「いかにババを引かないか」にかかっている(Fixed income investment management is all about avoiding losers, rather than picking up winners)
- コンサルタントとして培った業界分析、企業分析のスキルや知見が、そうした見極めにおける他社との力の差になり、その差がリターンに結びつく(同社の約70名のprofessionalのうち、2/3は元コンサルタント)
- High Yield BondやMezzanine debtへの投資は、通常の銀行融資(LIBO +2.5~3%)と株式投資(プライベートエクイティファンドなら20-25%のリターンが目標)の中間くらいにあたる、8-11%程度の利回りが期待できる。案件を見つけてくることは株式投資よりも簡単。問題は(一点目に掲げたとおり)いかに不良債権化しないようにするか
- 株式投資した会社(=他社よりもよく内情が理解できている会社)の資金ニーズに債券購入のかたちで絡むなど、プライベートエイクイティ業務とのシナジーは高い(但し機密情報は完全に相互に秘匿されている)
- サブプライム問題で流動性を欠いた銀行が債権を手放したがっている今は、むしろチャンス
それ以上は、今後の米国市場の見通しや、個別商品設計の考え方なども語っていたが、理解が及ばなかった。まだまだ修行が足りない。
バスで自宅に帰ると、アパートの前で近所の親子が戯れていた。
2-3才の女の子が水溜りで滑って、「水が硬い」と母に訴えると、
「そう、昨日は水溜りだったけど、今は凍ってるの。氷っていうのよ。そして凍りは滑るの」と母が説明してた。
昨日まであった水溜りを記憶していたらしい女の子は、自分の知っている水と目の前の固体がなかなか関連付けにくかったらしく、不思議そうにしてた。
自分の金融に対する知識も、この女の子くらいかなあ、などと思ってみる。
水、つまりビジネスの中身や、株式がなにか、債券がなにか、といった基本的な概念は理解しているが、それが多少変形(氷)すると、まったく理解が及んでいない。
いずれにせよ、こうした世界の金儲けは、どうも自分には面白みが感じられないようである。
ちなみに今日はバレンタインデー。
妻と娘がHarvard Sq近くの菓子屋でチョコレートを買ってきてくれた。
しかし、米国ではバレンタインデーは女性から男性に告白したりプレゼントを渡したりする日では必ずしもなく、むしろ男性から女性にプレゼントをあげることが多いらしい。妻と娘が買い物に出かけた際も、多くの男性が花束などを買い求めていたらしい。
バレンタインデー、などと日を決めなくても、米国の女性は強いから、いつでも告白できる、ということか。
それとももっと強いから、自分から告白なんかしないし、プレゼントもあげない、ということか。
娘からチョコレートの入った紙袋を手渡され、日本人でよかった、と思いもしない場面で感じてしまった。
MITスローン校でのMBA、プライベート・エクイティでのインターン、アパレル会社SloanGearの経営、そして米国での生活から、何を感じ、何を学ぶのかー。
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