Each group will conduct a marketing analysis and make recommendation based on that analysis, for a company of your choice. This company can be a former employer, competitor, or any other firm that your group think is interesting. Use any or all of the tools we discuss in class. As part of your research, you should identify, and interview, at least three of the company's customers per group members.
という、極めて緩い課題設定である。授業で習った分析手法を使え、インタビューを3つ以上やれ、という以外、なにも規定しない。
「組織プロセス」の「プロジェクト」のように、企業の中に入っていって、最終的にその企業に提案するところまでを求めていないので、愛想がないというか、アドレナリンが出ない。しかも分析手法ありきでテーマを選定するというのは、極めて本末転倒で、気が進まない。とはいえ、当該科目における成績評価の25%を占めるものであり、他のチームメンバーにも迷惑がかかる話なので、あまり適当にやるわけにもいかない。
ターゲットには、Trader Joe's という食料品スーパーを選んだ。自宅から最寄のスーパーであるというだけでなく、最近北米で急成長中のスーパーとして注目されている先でもある。オーガニック食品へのこだわり、80%ほどを占めるプライベートブランド品、通常のスーパーに比べ桁違いに少ない商品数、不便な立地、それらによって実現された低価格、ハワイアンシャツの店員によるフレンドリーな接客、などが特徴である。また、コンサルティングの経験であまり小売業を扱ったことがないので、どうせ「プロジェクトモノ」をやるなら小売業が希望でもあった。
チームメンバーは私以外に、米国人SR君、日本人KT君、そしてハーバードからゲスト出席しているドイツ人のMM君の、計4名である。
皆授業のスケジュールが異なり、特にMM君は毎日そのヘンにいるわけでもないので、なかなか全員でミーティングをすることができず、着手が先送りされてきたが、先週末あたりからいよいよ動き始めた。
コンサルティング業界に入ってすぐの頃のように、摂氏零度前後の寒空の下、スーパーの前の駐車場で買い物を終えた客を追って、2-3分のインタビューに答えてもらったりする。この手の「突撃お客様インタビュー」
は、日本でやると5人に1人答えてくれれば万々歳だが、こちらはさすがに皆おしゃべるりが好きなのか、5人声をかけると4人は答えてくれる。自分にとってはBack to the Basicで、ちょっとくらいならこういうのもまた面白い。
問題は、分析手法やプロジェクトの進め方を巡ってのチーム内での合意形成である。
「組織プロセス」の「プロジェクト」で経験していたので、米国人のチームメイトとはスムーズに意思疎通が出来たのだが、ドイツ人が曲者だった。
長身でちょっとイケメンの彼はまだ23歳になったばかり。実務経験もなく、良い成績をとること、そのためにとにかく教授の指示に従うこと、しか考えていない。かつ、おそらくこれまでエリートコースを歩んできたのだろうが、発言や態度が尊大で、むやみに周りを不愉快にする。
もっとも、ドイツ人は友人も多く、基本的に日本人にとって働きやすい人々だと思っていたので、人間関係作りというか、思考・態度の懐柔のために、ある程度の時間を投資してみた。が、一向に成果が現れない。
とにかく自分の主張を曲げず、自分の言いたいことしか言わないので会話のキャッチボールにならない。また、いつも「一言多い」ので、誰かがカチンとくる。
結果的に、他のチームメンバーと話し合って、3人で進め方の大枠を作って、彼にはある程度数のちからで納得させる、という動きに出た。チームプロジェクトというと、ともすればタダ乗りしようとする輩も少なくない中で、積極的に貢献しよう、という彼の姿勢は立派だし、それを十分受け入れてやれないのは残念だったが、背に腹はかえられない。
彼とのやり取りを経て、
・ 傲慢な態度をとらない
・ 余計な自己正当化、批判をしない
という、当たり前だが大切な教訓をえたことが、これまでのところ最大の成果である。
インターネットのお陰で、ボストンにいても日本のニュースは手近なところにある。
スローンの図書館には、朝日新聞も置かれている。
基本的に文字媒体ばかりなので、静かに降り積もる雪のように、情報が溜まっては消えていく。
今年に入って、日本から伝わってくるニュースには、一向に明るいものが見当たらない。
政治、行政、経済、地方政治、社会問題…、
何一つとして、積極的な材料が見当たらない。
米国も、たいがいいい加減な、滅茶苦茶な国だと思うが、それとの比較感においても、何ともお粗末な状態である。
遂に18日には、日経新聞が「市場に背を向ける政治」として福田内閣を痛烈批判。ごもっともな指摘であるが、日経に書かれた意味は大きい。
改めて振り返ってみると、やはりこの国の2008年は、恐ろしいまでに悲観的な状況だ。
- ますます後退、矮小化する政治
- 「生活者、消費者が主役」の政治という、空虚で無内容なスローガン。消費者行政一元化構想の迷走
- 「ガソリン国会」。1リットル25円下げると息巻く野党と、意味不明な反論を繰り返す与党。一方で米国はサブプライムローン焦げ付きごの緊急経済対策で、一人18万円ほどの小切手を国民に送ることを検討
- 行政改革を巡る渡辺喜美金融・行革担当相の孤立。公務員制度改革、特殊法人整理の骨抜き化
- 整備新幹線未着工区間のJRへの財源負担のゴリ押し。宮城県選出の議員の質問に対する武部元幹事長の「あんたのところは新幹線走ってるじゃないか!」発言
- 北朝鮮拉致・核問題の風化
- 鳩山法相の連続失言
- 統制経済への郷愁を捨てきれない行政
- 空港への外資参入規制
- 英国投資ファンドTCIによるJパワー株買い増しに対する経済産業省の横やり
- そして経済産業省の北畑事務次官によるデイトレーダーや投資ファンドに対する「最も堕落した株主」「バカで浮気で無責任」発言
- 取り残される経済
- 株価の続落
- 世界の時価総額ランキングでトップ10に日本企業なし。トップ500に入った会社の数でも、中国企業を下回る
- 衆愚政治の様相を呈する地方
- 橋下弁護士の大阪府知事就任。さっそくの公約撤回
- ちなみに今度の月9はキムタクが総理大臣。今立候補したら東京都知事にでもなれる!?
自浄作用を失った国は、どこへ行こうとしているのだろうか。
今日は授業がない日(正確には、自分が設定していないだけだが)であったが、Sankaty Advisorsから、MDのStuart Davies氏が来るというので、聴講してきた。
久しぶりのゲストスピーカー講演である。
Sankatyは投資ファンドBain Capitalの関連会社で、高利回り債券への投資では米国でもトップクラスの業績をあげている。現在の運用資金は約2.5兆円、東証一部上場大手企業の総資産規模に匹敵する金額である。
講演内容は、ある程度覚悟していたことだが、難しかった。
大まかに言うと、全体の話のうち、語学的に理解できた(耳に入ってきた)のが7割、そのうち内容として理解できたのが半分強、というところで、全体のうち理解できたのは4割程度の歩留まりだったと思う。
理解した範囲での主なポイントは、
- 「勝者」を見つけて投資する株式投資と異なり、債券投資の肝は「いかにババを引かないか」にかかっている(Fixed income investment management is all about avoiding losers, rather than picking up winners)
- コンサルタントとして培った業界分析、企業分析のスキルや知見が、そうした見極めにおける他社との力の差になり、その差がリターンに結びつく(同社の約70名のprofessionalのうち、2/3は元コンサルタント)
- High Yield BondやMezzanine debtへの投資は、通常の銀行融資(LIBO +2.5~3%)と株式投資(プライベートエクイティファンドなら20-25%のリターンが目標)の中間くらいにあたる、8-11%程度の利回りが期待できる。案件を見つけてくることは株式投資よりも簡単。問題は(一点目に掲げたとおり)いかに不良債権化しないようにするか
- 株式投資した会社(=他社よりもよく内情が理解できている会社)の資金ニーズに債券購入のかたちで絡むなど、プライベートエイクイティ業務とのシナジーは高い(但し機密情報は完全に相互に秘匿されている)
- サブプライム問題で流動性を欠いた銀行が債権を手放したがっている今は、むしろチャンス
それ以上は、今後の米国市場の見通しや、個別商品設計の考え方なども語っていたが、理解が及ばなかった。まだまだ修行が足りない。
バスで自宅に帰ると、アパートの前で近所の親子が戯れていた。
2-3才の女の子が水溜りで滑って、「水が硬い」と母に訴えると、
「そう、昨日は水溜りだったけど、今は凍ってるの。氷っていうのよ。そして凍りは滑るの」と母が説明してた。
昨日まであった水溜りを記憶していたらしい女の子は、自分の知っている水と目の前の固体がなかなか関連付けにくかったらしく、不思議そうにしてた。
自分の金融に対する知識も、この女の子くらいかなあ、などと思ってみる。
水、つまりビジネスの中身や、株式がなにか、債券がなにか、といった基本的な概念は理解しているが、それが多少変形(氷)すると、まったく理解が及んでいない。
いずれにせよ、こうした世界の金儲けは、どうも自分には面白みが感じられないようである。
ちなみに今日はバレンタインデー。
妻と娘がHarvard Sq近くの菓子屋でチョコレートを買ってきてくれた。
しかし、米国ではバレンタインデーは女性から男性に告白したりプレゼントを渡したりする日では必ずしもなく、むしろ男性から女性にプレゼントをあげることが多いらしい。妻と娘が買い物に出かけた際も、多くの男性が花束などを買い求めていたらしい。
バレンタインデー、などと日を決めなくても、米国の女性は強いから、いつでも告白できる、ということか。
それとももっと強いから、自分から告白なんかしないし、プレゼントもあげない、ということか。
娘からチョコレートの入った紙袋を手渡され、日本人でよかった、と思いもしない場面で感じてしまった。
春学期が始まってからは、ほとんどの教科で、3-4人のチームを作って、課題にあたることが求められている。昨年の秋学期のように学校側から指定された各教科共通のCore Teamではなく、学生が勝手に組織する勝手チームであり、教科によってメンバーも異なりうる。せっかくなので、Core Teamのメンバーでなかった学生、かつできるだけNative Speaker(ないしは英語圏で教育を受けた連中)と組むようにしている。
そんな中で、Finance IIという講座のチームは、唯一米国人がいないチームになっている。私の他はマレーシア人、台湾人、タイ人で、アジア連合状態である(もっとも、マレーシア人は英国で、台湾人は米国でそれぞれ教育を受けている)。米国人はいないが、国籍もバックグラウンドも多様で、面白い。
今日そのチームで行った議論は、象徴的であり秀逸だった。
課題は、ある卸売業の会社が成長に伴う運転資金の増加から資金調達の必要に迫られており、それに対して必ずしも十分な信用枠が銀行から与えられていない、という想定で、その資金繰りを解決するためにどういう対策を提案するか、というものであった。
これに対し、私はコンサルタントの習性からか、「そもそものオペレーションを見直して、在庫回転期間や売上債権回収期間を短縮し、運転資金そのものを減らすべきだ」と提案。
一方タイ人は「いやいや、銀行と話し合うべきだ。銀行から与えられている信用枠や貸付条件はわかるが、交渉すればそんなモノは変えられる」
また、ゴールドマンサックスからインターンの内定を得ている台湾人は「増資すりゃあいい。株式公開でもすればあっという間に金が集まる」
最後にマレーシア人は「オーケー、分かった。じゃあ、全部やろう」
・・・よくもまあ、こんなに意見がわかれ、かつそれぞれが各個人の背景を色濃くあらわすものだ。
勉強以前に、その「典型的な多様性」に笑ってしまった。
Barack Obamaが、この週末に行われた計4つの州(ルイジアナ、ネブラスカ、ワシントン、メーン)の予備選・党員集会すべてにおいて勝利した。
ばらつきはあるが、対抗馬のClintonに対して、概ね6:4で勝利している。
民主党は代議員数を獲得票数で比例配分するので、100%開票が終わらないと確たる結果がわからないが、CNNの集計では、現時点の獲得代議員数は、Clintonの1,148に対して、Obamaは1,121と、着実に両者の差が縮まってきた。予備選で勝利し、民主党統一候補として指名されるには、2,025の代議員票が必要であり、まだレースは折り返し地点を過ぎたところだが、今のところ「流れ」はObamaにあるように感じる。辻辻で見かける草の根支持者もそう感じさせる一つの要素だが、何より、ここ最近の選挙資金獲得状況をめぐる両者の差は鮮明である。Clinton候補がここに来て寄付資金が尽き、巨額の自己資産を投入せざるを得なくなっている一方で、Obama候補は1月だけで過去最高の34億円の寄付を草の根支持者を中心に吸い上げ、2月に入ってもその資金獲得の勢いは衰えない。
Obamaの何が、人々をひきつけるのか。
理由は様々だろうが、彼の演説力が大きく寄与していることは間違いないだろう。
連日テレビで放送され、YouTubeなどでも流れているので目にすることは多いが、巧い。確実に、人をひきつける。両党の候補者の中で、一番巧いだろう。声の抑揚、テンポの変化、間のとり方、表情の作り方(とくにシリアスな表情にときどきみせる笑顔のタイミングと爽やかさ!)は、予備選が始まってから更に磨きがかかり、宗教的なオーラすら感じるときがある。
あれは、凄い。
余人をもって替えがたい。
もっとも、演説の中身は、はっきりいってスカスカである。
毎回、言うことは同じ。
施策として強調するのは、保険制度の充実、イラク戦争への批判、経済復興、そして「米国の希望を取り戻すこと」。
どうやってやるか、については、
"Yes we can"
"We want to believe"
で押し切る。
マクロ経済学の授業の中で、
「Populism(大衆主義)には二種類ある。右からのPopulismと左からのPopulismだ。前者は混乱の中で秩序と統制を訴え、後者は格差や貧困の中で富の再分配を訴える。それぞれに共通しているのは、ベストシナリオを訴え、方法を言わないことだ」
と習ったが、演説だけ聴いていると、彼は典型的な「左からのPopulism」である。
あのまま大統領をやったら、えらいことになりそうな気もする。
リスクの度合いとしては、大阪府の橋下新知事よりも大きいかもしれない。
しかし、見方を替えれば、方法を精緻に考え、提示する頭脳は、この国には沢山存在する。
稀有なのは、むしろこれをやりきる実行力と、国民をその方向に向けさせるある種のカリスマ性である。
これさえあれば、自分のできること、できないことを自覚し、不足をブレーンで補えばよいのだから、この時点で"How"を示す必要は、あまりないのかもしれない。
事実、Howにこだわり、具体的な方法や数字をパワーポイントを使ってまで説明した我らがRomney候補は、経済オンチなMcCainに大差をつけられ、見事に先日撤退してしまった。
小泉純一郎元首相も、Obama候補のタイプに極めて近い。賛否はいろいろあるが、今でも待望論がある元首相、という意味では、やはり稀有である。そしてその待望論は、彼に何か個別の課題の解決方法の提示を期待しているのではまったくなく、何となく「全体として」状況を打開してくれそうな、リーダーシップのイメージをあてにしている。
と、ここまで考えて、自分に置きなおしてみる。
演説はやったことがないが、Obama候補のような「人柄の魅力」はないし、方法を脇においてヴィジョンを語れる発想力、度量、話術もない。どうしても、目が"How"に行ってしまう。逆に、Obama候補のようなリーダーがいて、自分がその個人を尊敬できさえすれば、Howを作り上げ、実行のお膳立てをするのは、多少なりとも向いているように思う。
やはり、自分には一国一城の主ではなく、参謀的なキャリアが向いているようだ、という以前からの自己認識が、またここでもサポートされてしまう。
やっぱり、そうなのかなあ。。。
MITスローン校でのMBA、プライベート・エクイティでのインターン、アパレル会社SloanGearの経営、そして米国での生活から、何を感じ、何を学ぶのかー。
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