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在る偏屈者による半年遅れのMBA留学日記、そして帰国後に思うこと
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スローンの日本人学生で開いている異業種交流会で、自分のコンサルティング経験を話す機会を得た。
異業種交流会は、多様な業界・会社から集まっている日本人学生の経験を折角なので共有しよう、という趣旨で開かれているもので、07年くらいから恒例化しているらしい。我々の代も、1年生のときはそれなりに積極的に開催していたが、長い夏があけてチョット間が空いてしまい、仕切り直しで今回がほぼ半年ぶりの開催となった。
4年半のコンサルティング経験を1時間で振り返る、しかもあまり肩の凝らない話にまとめる、ということで、細かい分析や仕事の内容を捨象して、自分が何を学んだか、を中心に話すことにしたが、改めてコンサルティングの仕事を始めてからの自分の業績評価の書類を最初から読み直すなど、自分の振り返る良い機会となった。以前にも書いたように思うが、やはり多くの人に支えられ、良いお客さんやプロジェクトに恵まれて、昔は考えも及ばなかったことがいろいろできるようになったものだなあ、と感謝の気持ちを新たにもした。
「観客」は1年生がほぼ全員と、2年生が半分くらい。HBS1年生の友人も来てくれた。彼らが何を感じたかは、今置かれている立場や関心によって、本当に人それぞれだろう。少なくとも、折角の金曜日の午後に学校に集まって1時間を過ごしただけの価値があったと思ってもらえたことを願うばかりです。

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 今日はJapan Clubの主催で、セブンイレブンの米国法人である7-Eleven, Inc.から、CEOのJoe DePinto氏とCOOの朝倉正昭氏をお招きして、同社の米国における改革と成長戦略についてご講演いただいた。

同社とは、昨春のJapan Trekで日本のセブンイレブン本社にお伺いして以来のご縁である。同Trekでの参加者の反応が非常に良かったこと、また製造業以外にも日本が世界に誇れる産業があるということを知ってもらいたかったことなどから、日本の本社を通じて去る6月に幹部の来校・講演を依頼したところ、ほとんど二つ返事で、しかもトップお二人の来校を快諾いただくことができた。

プレゼンテーションの内容を鑑み、興味のありそうな対象に絞って宣伝したこともあり、会場は立ち見が出るほどの満員。このMBA就職氷河期に、就職に直結しない講演ながら70名を超える学生が集まったという事実には、やはりMBAは就職予備校的な役割だけではないのね、と多少ほっとした。

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さて、内容であるが、この手のプレゼンテーションが往々にしてウェブサイトに書かれたような情報のまとめに過ぎないのに対し、かなり具体的な内容に踏み込んだ、興味深いものであった。以下、簡単にまとめておく。

立地・出店戦略
日本のセブンイレブン、あるいはコンビニ業界と比較した際に、同社米国事業のおかれた状況はさまざまな側面で異なるが、もっとも大きな違いの一つが、この出店状況。
日本のコンビニが全国に約4万店あり、その約3割、つまり約12,000店がセブンイレブンであるのに対し、米国のコンビニ(あるいはそれに類する商店)は14万店あり、セブンイレブンは6,200店、つまり4%に過ぎない。全体の7割は独立の所謂パパママ商店である。
こうしたパパママ商店の経営はかなり苦しいはずである、とDePinto氏は推察する。セブンイレブンの平均店舗に比べて、店舗あたりの年商で3,500万円、粗利益率で7%ほどの格差があると想定されるからである。
一方で、7-Eleven, Inc.の課題としては、6,200店が大都市を中心に展開しているといえども分散しており、日本のセブンイレブンの成功の秘訣の一つといわれる地域独占戦略から程遠い、という状況がある。
そこで同社は、郊外の孤立した店舗を売却し、一方で大都市圏で選択的にパパママ商店のチェーン加盟を促し、地域独占戦略を米国でも実行する計画らしい。これが本当に実現すれば、7-Eleven, Inc.の物流面を中心にした効率改善、人々の生活に与えるインパクトは測り知れないだろう。

店舗運営改革
日本のセブンイレブンの店舗では、「単品管理」と呼ばれる在庫・発注管理が徹底されている。強力なITシステムを武器に、各店舗の店長が個々の商品の自店在庫状況、売上状況、周辺店舗における売上動向などを見ながら、追加発注の時期・量や別の商品との入れ替えを決めていく、という仕組みで、店側の自主性・モチベーションを高め、地域ごとの細かい需要の違いを反映することができるという強みがある。7-Eleven, Inc.はこれを米国でも導入しようと努めている。そのために、必要な教育、IT投資を行うとともに、店舗の所有形態も、過半数を占めていた本部直営店舗をフランチャイズ店に転換させ、店側の考え方、姿勢を変えた。
これが徹底されれば、人気商品の欠品や不人気商品の滞留といった米国の小売店にありがちな問題が解消されるばかりでなく、自店の経営・顧客のことを店長・従業員がより真剣に考えるようになり、サービス面でも改善が期待されるという。確かにボストンに来た当初、MITの近くのセブンイレブンに立ち寄って、否定的な意味での「衝撃」を受けたのを覚えている。是非改善に期待したい。

商品戦略
顧客の求めるものをより的確に提供し、さらにメーカーに対する流通側の発言力を高めるために、プライベートブランド商品の拡充が図られている。日本では毎週100以上の新商品が投入され、1年で70%の商品が入れ替わるといい、コンビニが飲料などの消費者向け商品のライフサイクルを不必要に縮めてきたとまでいわれているが、そこまで行かなくとも、より流通側、つまり消費者に近い立場の意見を商品作りに反映させていきたいという。そのためには、メーカーに自らが掴んだ顧客ニーズを伝え、商品設計に参画していくだけでなく、自らの主導でプライベートブランド商品を作ることが合理的だと、DePinto氏は語る。
また日本のコンビニエンスストアの売上は、食品・飲料が7割を占めるが、米国のコンビニエンスストアの売上はガソリンとタバコの売上で全体の6割を占めており、喫煙人口の減少や原油価格の変動、税制の変更などの外部環境の影響を受けやすい上に、利益率が低い。7-Eleven, Inc.では徐々に食品の売上比率を高め、売上構成を日本に近いかたちにもっていくことを目指している。そのために、米国人の好むHot Food(ピザやホットドッグなど)を新たに開発し、今のところ順調に売上を伸ばしているらしい。

物流改革
最後に、物流面であるが、Big Boxといわれる大型店舗(ウォールマート、コストコなど)が強く、また全体に流通よりもメーカーが強い米国では、DSD (Direct Store Delivery) と呼ばれるメーカーからの店舗への商品直納が主要な物流形態となっている。7-Eleven, Inc.ではこれが非常な非効率を生んでいる。何しろ、個別の商品の配送頻度は少ない(せいぜい週1回)にも関わらず、無数の大型トラックがそれぞれのメーカーから押し寄せ、商品を下ろしていくのである。多い日には、一日に15便ほどもトラックが押し寄せるらしく、それらが来客の導線となる店の正面をそのたびに塞ぐために、かなりの営業阻害要因となっている。在庫管理の観点からも非常に効率が悪い。
そこで、7-Eleven, Inc.では、これも日本の例に倣って、物流業務における自社の管理範囲の拡大を図っている。つまり前述の改革で密集させた店舗群に近接した倉庫を配置し、メーカーからは店舗ではなくその倉庫に配送してもらう。そして店舗から、複数メーカーの商品を混載した専用トラックで店舗まで運ぶのである。こうすることで、トータルでみた物流効率が飛躍的に改善するという。実際、日本のセブンイレブンでも、創業当初は一週間で一店舗あたり70回もあった商品配送を、2000年代には9回にまで圧縮し、物流効率を高めている。

こうしてみてくると、日本のオペレーションの模倣を基本としながらも、膨大な可能性を秘めた米国の小規模商店ビジネスに果敢にチャレンジしている同社の姿が良くわかる。日本型サービス業が米国社会でどこまで成功を収めることができるのか - 是非注目したい。

最後に、お越しいただいたDePinto氏、朝倉氏に心より感謝申し上げます。



月曜日のランチタイム、特に予定もなかったので、何となくOperations Management Club主催のプレゼンテーションを覗いてみたが、これが非常に面白かった。

プレゼンターは、Kiva Systemsで事業開発部長を務めるRob Stevens氏。McKinseyからFreeMarketというベンチャーに移り、スローンでMBAを取得した後、創業間もないKiva社に参画した。

彼が参画した当時のKiva社は社員20人足らず。今は社員120人を超える。
同社が開発し、提供しているのは、物流倉庫ソリューション。一言で言えば、「動く棚」である。
インターネットビジネスとグローバル・ソーシングの拡大とともに、物流は加速度的に複雑になっている。人々の商取引の自由度が、テクノロジーのおかげで時間と場所を超えて拡大する一方で、「モノを動かす」という最も根源的で古典的な経済活動の現場は、技術革新による大きな効率改善をみることなく、ただ爆発的に物量が拡大してきた。
特に米国は、日本に比べてインターネット商取引が生活に浸透している。Amazon.comやDellなどの有名どころに加えて、オムツなどの乳幼児用消耗品を扱うDiapers.comや、Gapのオンラインショップ、デザインアパレルのZazzleなど、数多くのビジネスが生み出され、驚異的なペースで成長している。これらのビジネスの成長は、それだけBusiness to Consumerの直接物流が拡大していることを意味し、それだけ物流現場が巨大かつ複雑になっていることを意味する。
しかしながら、物流現場の技術的進歩といえば、規模の拡大、立地の改善、トラックとのドッキングの合理化といった極めて初歩的な改善から始まって、ベルトコンベヤーの導入が近年最大の「革新」だったくらいで、およそ他の産業から100年単位で遅れているといっても過言ではなかった。現在主流となっているベルトコンベヤー式の倉庫も、商品をピックアップするための箱が巨大な倉庫を延々と移動しなければならないという時間効率の問題と、移動や手待ち時間の伴う作業員効率の問題を根本的に改善する術を見つけられていなかった。

Kiva社はこの事実に注目し、倉庫実務の抜本的な変革を考えた。
その際彼らは、以下のような方針を基本に据えた。
・ 労働生産性の最大化を最優先課題とすること。そのために人間の移動距離を最小化すること
・ 出荷指示の到着から出荷までの時間を極小化すること。そのために出荷用の荷箱の移動距離も最小化すること
・ 人間の得意なこと(具体的には商品を「取る」「確認する」「移す」という作業)は人間にやらせて、ロボットにはシンプルな作業をやらせること
・ ハードは極力汎用技術・汎用機械を用い、ソフトウェアの開発に重点を置くこと
・ 倉庫の事後的なレイアウト変更、拡大を容易にすること
こうした考え方から発想されたのが、「動く棚」のコンセプトである。
これはなかなか、言葉では上手く説明しきれない。
まずはこちらのウェブサイトで、デモビデオをご覧いただきたい。

Kiva社が開発した「機械」は、縦長の棚の下にもぐりこんだようなオレンジ色のフォークリフト・ロボット。ただ、これ事態は大してカシコイわけではない。すべてのロボットの進路は一箇所のコンピュータが集中的に計算、制御し、無線LANを通じて各ロボットに指示される。床に等間隔に配置された白い小さなタイルのようなものがバーコードになっていて、各ロボットはバーコードの上に来るたびに次に前後左右どちらに行くべきかを知る。そうしてロボットは倉庫の周囲に配置された作業員のところに徐々に近づき、作業員が商品をロボットが担いだ棚から取ると、また元の位置に戻っていく。ロボットに担がれる可動式の棚は、従来型の倉庫の棚よりも高密度で設置できるため、スペース効率はきわめて高い。一見雑然としているように見えるが、移動頻度の最も高い棚が作業員に最も近い位置、つまり倉庫の周囲に近い位置に配置され、奥、つまり倉庫の中央に行くほど移動頻度の低い棚になっている。商品の需要動向の変化によるこうした棚の配置換えも、このシステムであれば一瞬でできてしまう。
一方作業員は、次々に押し寄せてくるロボットから常に正しい商品を摘み出して、正しい出荷箱に収めなければならない。作業密度が通常の倉庫より飛躍的に高いため、間違いもおきやすい。そのため、次に取るべき棚の商品にライトが当たり、それを収めるべき出荷箱にもライトが当たるようになっている。つまりライトに従って身体を動かしていれば、基本的に間違えることがないという仕組みである。
さらに、倉庫の拡大も極めて簡単にできる。物量にあわせて敷地面積を拡大し、棚とロボットを増やせばいいだけで、拡大による既存の設備の無駄が極めて少ないため、将来の事業規模拡大を見込んで最初から不必要に大きい施設を作る必要がなくなる。

この仕組みは、いわゆるGame Changing Innovationの典型的な例だろう。つまり従来の物流倉庫管理技術の漸次的改善ではなく、根本的に物流倉庫のあり方を変えてしまっている。細かい説明は抜きにしても、前掲のビデオを見ると、純粋に「おおおっ、何か知らんがスゴい!」と思うのではないだろうか。そしてこの仕組みの生み出す価値は、具体的なコストの削減であり、物流処理スピードの改善であり、投資の柔軟性向上であり、すべて「実態(リアル)」である。既にStaples、Diapers.comなど、多くの企業がこの仕組みを導入して、大きな成果を挙げているという。

金融危機に端を発する就職難はMBA学生を直撃しており、今日もDean Schmittleinから励ましのようなメールが全学生に送られていたが、こうした実体経済に目を向ければ、エキサイティングで成長を続ける仕事がまだまだある。それが米国の底力かもしれない。
プレゼンターのStevens氏が最後に言った「カネを動かすより、モノを動かしてみないか!」という言葉に心の琴線を動かされたのは、私だけではないはずである。




Japan Clubで運営しているウェブサイトMIT Sloan 101のコンテンツとするために、スローンのDean(学部長)であるDavid Schmittlein氏にインタビューする機会を得た。

同級生のKazのリードで進められたインタビューの全容は、MIT Sloan 101で近日公開予定であるが、ここでは私の関心をひいた、二つの軸での比較論を書きとどめておきたい。

①日本のスローン卒業生と他のアジア諸国のスローン卒業生の比較
日本のスローン卒業生の明確な特徴は、歴史の差によるその数の多さと、平均年齢の高さ。
そしてそれらに支えられて、一部上場企業レベルでのトップマネジメントに卒業生が多く存在することだという。
確かに、NTTドコモやキリンビールなどの有名企業で、スローン卒業生は社長やそれに次ぐ地位で活躍されている。
対して、インドや中東などでは、スローン卒業生の目立った活躍は報道されるものの、一様に皆まだ若く、社会全体への影響力という点では日本の場合よりも小さいかもしれない。
残念なことは、その強力な卒業生陣が必ずしも上手く組織化されていないことであるが、その点については氏は触れなかった。

②MITスローンと他のビジネススクールの比較
氏は昨年までWhartonで副学部長を務めていたという経歴の持ち主で、Whartonをはじめとする他のビジネススクールとの比較については頻繁に質問されるらしく、明確な視点をもっておられた。
曰く、「スローン生は、外国人比率や女性比率などの統計数値でみると他校学生とそれほど大差ないが、なぜここで学びたいのか、という点については、他校の学生よりも深い考えを持っている。ブランドは必ずしも第一選択基準ではなく、それ以上の理由をもっている」
そしてこの背景として、二つの事実を紹介してくれた。
一つは、入学選考時のインタビューのやり方。いまや全米のトップビジネススクールで、選考インタビューを学校職員が直接行っているのは、スローンとHBSだけだという。他は、Whartonを含め、2年生か卒業生が中心となってインタビューしている。確かに、学校職員が直接面接を行う方が、学校側の戦略や求める学生像に沿った選考ができるだろうし、学生の質が思わしくない方向に行っていた場合や世の中の人材ニーズが変化してきた場合に、軌道修正がききやすいだろう。
もう一つは、入学選考時の競争倍率。同様に、全米のトップビジネススクールで、10倍以上の有効競争率を維持しているのは、スローンとStanfordだけらしい。これは学生規模の少なさも大きく影響していると思われるが、いずれにせよこの高い競争率ゆえに、学校側が学校の戦略や方向性にあった「質の高い」学生を選べるのだという。従って、来年度完成予定の新校舎など環境が整っても、学生規模を増やす考えはないらしい。
極めて明確で、合理的な戦略だと感じた。

最後に、インタビューの終わりに氏が言及し、印象に残った一言を記しておきたい。
"MIT is all about the idea of change the world!"

お忙しい中お時間を割いてくれた氏に、感謝。


つづきはこちら
秋学期の毎月一回月曜日お休みシリーズ第二弾として、11月10日は休日。
そこで日曜日から一泊で、マサチューセッツ州の西部にあるBerkshire地方を車で回ってきた。
地図でみると横長の長方形のような形をしているマサチューセッツ州は、ボストンを中心とする東部の海岸地域と、ニューヨーク州やバーモント州との州境に近い西部内陸地域とでは、自然の景観や人々の暮らし方が大きく異なる。中でもBerkshire地方は、山や森、湖などに覆われた自然豊かなリゾート地で、多くの芸術家をひきつけてきた場所でもある。既に紅葉の時期は過ぎてしまったが、一面が雪に覆われる前に、落葉した木々の間を美術館などに立ち寄りながらドライブするのも面白いかな、と期待して旅立った。

夏場はタングルウッド音楽祭が開かれることで有名なこの地方であるが、音楽だけでなく絵画についても見るべきところが多い。まあそれほどヘビーな絵画鑑賞家でもないし、家族連れということもあって、我々が訪れたのは2箇所だけ。
一つはThe Eric Carle Museum of Picture Book Art。Eric Carleは、我が家の娘も大好きな「はらペコあおむし」などの作品で知られる絵本作家・イラストレーターである。何もないところにポツンとある美術館だが、Eric Carleの作品を展示してあるだけでなく、併設された図書室で彼の著作をはじめとする絵本を読んだり、アトリエで製作活動に取り組んだりすることができ、子連れならついつい長居してしまうコンテンツになっている。シンプルなつくりの建物からは周りの自然が一望でき、大人でも居心地良く過ごすことができる。
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訪れたときには日曜日というのに入場者は家族連れ10組もおらず、とても入場料や物販収入(ショップでは版画や絵本を豊富に取り揃えている)だけで成り立つと思えないが、入り口近くの壁には寄付者のリストが・・・。企業ではなく個人の寄付や支援でこういう施設が成り立つというのは、米国の素晴らしい点の一つであろう(まあそれだけ所得格差が大きく、金持ちはトンデモなく金持ちだ、ということなのだが、それでも日本人だとなかなかここまで寄付できないように思う)。

もう一つは、恐らくこの地方で最も有名な、Norman Rockwell美術館。彼が晩年を過ごしたBerkshire地方のStockbridgeの街なみを描いた作品や、歴代大統領のイラスト、雑誌の表紙にあてた作品などが、彼のアトリエの隣に建てられた瀟洒な建物に保存、展示されている。
展示された絵やポスターももちろん素晴らしいのだが、それ以上にこの美術館とアトリエの置かれた場所の素晴らしさが印象に残った。見晴らしの良い丘の上の土地が選ばれており、窓を大きくとった山小屋風のアトリエからは、Berkshireの清清しい自然が堪能できるようになっている。創作活動というのはこういう場所でやりたいものだ、と勝手に納得してしまう。
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ちなみにこの美術館には、近畿日本ツーリストかどこかの催行による日本人ツアー客も訪れていた。渋いツアーもあるものである。

宿泊したのは、Rockwellも住んだStockbridgeのホテルRed Lion Inn。18世紀の駅馬車時代の宿に始まる老舗で、タングルウッドに小澤征爾を訪ねられた際に今の天皇・皇后両陛下がご宿泊(もしくはご休憩)されたこともあるらしい(写真が飾ってあった)。建物は古いがしっかりメンテナンスされており、サービスも行き届いていて、素晴らしいホテルであった。この地方を訪れることがあれば、是非オススメしたい。

二日目は、ニューヨーク州との州境に沿って南北に長いBerkshire地方を南から北へ縦断し、自然と風景を楽しむ。何か特別なものがあるわけではないのだが、本当に絵になる風景が惜しげもなく車窓を流れてゆく。心が洗われる思いがした。

ボストンの近場でも、まだまだ見るべき場所は多いということを再認識させられた旅であった。




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PROFILE
HN:
Shintaro
性別:
男性
職業:
経営コンサルタント
趣味:
旅行、ジャズ鑑賞
自己紹介:
世の中を素直に見ることが苦手な関西人。
MITスローン校でのMBA、プライベート・エクイティでのインターン、アパレル会社SloanGearの経営、そして米国での生活から、何を感じ、何を学ぶのかー。

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