「 Keizo Takemi …日本の政治の選択肢:政権交代と政界再編 」
前参議院議員の武見敬三氏の講演があったので、聴講してきた。
民主党が勝利した前回の参議院選挙において全国比例区で18万5千票を集めるものの次点落選し、現在はハーバード大学医療財政研究所で客員研究員をやられているとのこと。ボストンには本当にいろいろな人がいる。
日本医師会元会長の息子さんであり、麻生太郎首相とも血縁関係にあるとのことで、また自民党の得意な血縁議員かと失礼ながらあまり評価していなかったが、お話を伺って、見識の高さ、論理展開の明確さ、お話のわかり易さ、緩急などに驚かされた。日本の政治家には珍しいほどの分析力、論理力とお見受けした。
講演の内容は、小泉改革に端を発した自民党内のパワーバランスの変化、国民の間での政治論点の変化、それを踏まえた民主党の政権奪取戦略、自民党の生存戦略を分析し、今後の政界再編の可能性と意義について解説するというもので、時間を感じさせない、非常に面白く、それでいてわかりやすいお話であった。
以下、いつもながら簡単に要旨を書いておく。
各論の賛否はともかくとして、氏ご自身の世界観、鳥瞰図をお持ちであり、またそれを冷静・論理的に解説されるところに感銘をうけた。良い意味で、日本の政治家には稀有なのではないだろうか。その点をご本人に伺うと、論理的な政策立案能力だけでは政治はなかなか動かない、優れた政治家は人の心の機微のわかる力と決断能力が必要だ、とおっしゃっていた。ご尤もなのだが、「(地元の)人の心の機微のわかる力」だけで政治家をやっている人が多すぎる気もやはりする。
また政界に復帰されて、日本政治を少しでも良い方向に牽引していただきたいと思った。
民主党が勝利した前回の参議院選挙において全国比例区で18万5千票を集めるものの次点落選し、現在はハーバード大学医療財政研究所で客員研究員をやられているとのこと。ボストンには本当にいろいろな人がいる。
日本医師会元会長の息子さんであり、麻生太郎首相とも血縁関係にあるとのことで、また自民党の得意な血縁議員かと失礼ながらあまり評価していなかったが、お話を伺って、見識の高さ、論理展開の明確さ、お話のわかり易さ、緩急などに驚かされた。日本の政治家には珍しいほどの分析力、論理力とお見受けした。
講演の内容は、小泉改革に端を発した自民党内のパワーバランスの変化、国民の間での政治論点の変化、それを踏まえた民主党の政権奪取戦略、自民党の生存戦略を分析し、今後の政界再編の可能性と意義について解説するというもので、時間を感じさせない、非常に面白く、それでいてわかりやすいお話であった。
以下、いつもながら簡単に要旨を書いておく。
- 小泉政治は改革的な国内政策を独特の政治手法で推し進めたが、その裏では国民生活を疲弊させた。一方で旧橋本派を中心とする自民党の既存の派閥力学を破壊し、森派を最大派閥として君臨させる反面、伝統的な自民党支援団体の衰退と離反を招いた
- 政策的には、財政緊縮路線の改革的国内政策、それを支える財務省との緊密な連携(麻生政権はこれが弱く、序盤苦労する)。一方で外交・安全保障政策は極めて保守的(日米同盟重視、靖国参拝など)
- 飯島秘書官が支えた新しいメディア手法(これまで注目されなかった雑誌媒体の活用、勧善懲悪的構図による政敵への国民批判の扇動)
- 「自民党をぶっ壊す」の意味は「橋本派をぶっ壊す」。言い換えれば角福戦争の福田系派閥によるリベンジ
- 橋本派議員は小泉政権下で100人から69人に激減。一方で福田系の森派は58人から88人に激増(「チルドレン」を入れると実数100名以上)
- 一方で自民党の伝統的支援団体の窓口は代々田中系の派閥(=橋本派)が担ってきたため、これが衰退したことで自民党支援団体の衰退と離反が進んだ
- 社会保障サービスの弱体化(医師数削減、医療費補助削減)、地方格差拡大による国民の改革疲れと反発(人気のある小泉氏が首相から退いた後噴出)
- 民主党の政権交代戦略は、小泉改革に対する国民の疲れ、年金制度・社会保障問題への自民党の対応のまずさを突き、労組の支援もあって序盤は成功。しかし小沢代表公設秘書政治資金規正法違反問題がボディーブローのようにきいてくる
- これに対する自民党の生存戦略は、当初は国民に人気のある人物をリーダーに担ぐことであったが、現在は景気対策にシフト。外交上の追い風もあり、徐々に効果をあげている
- 極めて大型、攻めの景気対策。小泉政権以来の緊縮財政路線の実質棚上げ
- 官邸機能強化(内閣人事局設置法案等)による政策自由度確保
- オバマ政権による自民党へのテコ入れ北朝鮮ミサイル問題などの外交上の追い風は、麻生政権にとって極めて大きい
- オバマ氏は100カ国以上の首脳が会談を希望する中で麻生首相と最初に会談
- ヒラリー氏と会談まで行ったにも関わらず、その後「米軍は第7艦隊だけでいい」というような外交上の方針を変える発言をした小沢氏の「失策」も、米国による自民党のテコ入れを後押し
- 武藤元次官の安全安心確立会議への取り込みなどによる財務省との妥協の成立。補正予算の財源をどう確保するかが注目される
- いずれにせよ、ねじれ解消を推進力として、再編(or大連立)の可能性は極めて大きい
- 次の衆議院総選挙が大きな歴史的転換期となる
- ねじれ解消の方法としてとりあえず大連立で逃れたとしても、長続きはせず、いずれ政界再編に至る
- 第一期の再編は次の衆議院総選挙と来年7月の参議院選挙の間に起きる
- 政界再編の意義は、行政府が突出した三権分立体制のバランス再構築(立法府の役割拡大)であり、より本質的(理想的?)には、日本社会の将来目標、国際社会における在り方、天皇制の役割の再設定の機会。明治の時代に匹敵する大きな転換期といえる
各論の賛否はともかくとして、氏ご自身の世界観、鳥瞰図をお持ちであり、またそれを冷静・論理的に解説されるところに感銘をうけた。良い意味で、日本の政治家には稀有なのではないだろうか。その点をご本人に伺うと、論理的な政策立案能力だけでは政治はなかなか動かない、優れた政治家は人の心の機微のわかる力と決断能力が必要だ、とおっしゃっていた。ご尤もなのだが、「(地元の)人の心の機微のわかる力」だけで政治家をやっている人が多すぎる気もやはりする。
また政界に復帰されて、日本政治を少しでも良い方向に牽引していただきたいと思った。
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MITスローン校でのMBA、プライベート・エクイティでのインターン、アパレル会社SloanGearの経営、そして米国での生活から、何を感じ、何を学ぶのかー。
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