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「 Dinner with PE folks ...目の前にある遠い世界 」
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ビジネススクールは2年コースが主流であるが、2年コースとなると、当然間に夏休みがある。日本の夏休みなどとは比べ物にならないほど長く、5月の後半から9月の初旬まで、3ヶ月ちょっとも学校を離れることになる。もっとも、ほとんどの学生はここで遊んでいるわけではなく、必死でインターンをやる。主には卒業後の進路を決める上で、経験のない業界を見てみよう、とか、第一志望の会社・業界での経験をつんで本採用に活かそう、とか、そういう趣旨である。スローンではファイナンスやオペレーションが強いので、投資銀行、ハイテク関係、コンサルといったところがサマーインターン先のメジャーどころとなる。今年はサブプライムの影響で投資銀行がさっぱりなので、ハイテク、コンサルの割合が高いようだ。
私は、いろいろ迷ったりもしたが、プライベート・エクイティー・ファームで10週間お世話になることにした。
プライベート・エクイティー(PE)とは、文字通り未公開企業への投資を業とした会社である。未公開企業の中でも創業間もないベンチャー企業に投資するのと、ある程度成熟した企業に投資するのとではかなり仕事が異なるため、PEの中でも前者をベンチャー・キャピタル(VC)と呼び、後者のみをPEと呼ぶことも多い。日本では、村上ファンドやらスティール・パートナーズやらの所謂アクティビスト・ファンドが目立ったことや、創業家が代々受け継いだものをヨソモノが買うことに対する一般的な抵抗感、さらにはつい先日までの株式持合いによる市場流動株式の少なさなどから、PEが本格的に活動を始めたのはここ数年~10年の間であるが、米国ではかなり市民権を得た、まっとうな存在である。ちなみに、2007年のトップ10のPEファーム(運用資産規模順)を挙げると、以下のようになるらしい。

  1. The Carlyle Group $32.5 billion
  2. Kohlberg Kravis Roberts $31.1 billion
  3. Goldman Sachs Principal Investment Area $31 billion
  4. The Blackstone Group $28.36 billion
  5. TPG $23.5 billion
  6. Permira $21.47 billion
  7. Apax Partners $18.85 billion
  8. Bain Capital $17.3 billion
  9. Providence Equity Partners $16.36 billion
  10. CVC Capital Partners $15.65 billion 

合計で約23.5兆円ものカネが、これらの人々によって操られている。

私がオファーをいただいたのは、この中の一社である。
残念ながら、この手の業界はもともと少数精鋭である上に、ほとんどMBAの新卒を採らず、採るとしても9割方HBSからであり、スローンは無視されているに近い状態にある。私も、コンサルタントとしてのある程度のバックグラウンドと、そのときに培ったネットワークがなければ、チャンスは得られなかっただろうと思う。
という貴重な機会なので、しんどい仕事ではあるが、是非いろいろ勉強してきたいと思う。

その私が夏にお世話になるPEファームから、本日はディナーに招待いただいた。
この夏からフルタイムで採用になった新アソシエイトの歓迎会だが、そこに我々数名のサマーアソシエイトもお招きいただいた格好である。
年収数億円を優に上回るマネージング・ディレクター(MD)クラスも数名参加してくれており、その中には社長に相当する人物(同社では社長やCEOというポジションを設けていないので、肩書き上は通常のMDだが、実質的に全社の管理をしている人物)もいた。なかなかお目にかかれる人物ではない。
いくつか、面白いと思ったコメントを拾っておく。

  • 当社では、役職に関係なく、投資案件(ディール)をしてなんぼ、の世界。自分(社長に相当する人物)も、時間の少なくとも半分は、ディールに使っている。偉くなった人間のタダ乗りを許さない文化が、成長の重要な要素になっている
  • コンサルティングとPEにおける企業価値算定の違いを上げるならば、我々(PE)の方がより短時間に他人が見ていない価値を見極める必要があるため、より絞り込まれた論点について誰よりも深く検討する、という点だろう。MBA採用がほぼHBSに集中しているのもここに理由の一つがある。あの学校では、毎回のケーススタディにおいて、「今回のケースで最も重要なポイントを1-2挙げるとすると何か」という問いかけで学生を追い込み、学生の思考を訓練している
  • 日本はやっと我々が活躍できる市場になってきた。水面下で進んでいる案件の数も、我々が捌ききれるボリュームをはるかに越えている
  • 来月からインドのムンバイにオフィスを開くことにした(PEの中ではかなり後発)。インドは企業の平均的な成熟度が低いが、成長のチャンスに溢れている。後発のPEとして勝ち残るためには、基本に忠実に、安易な価格競争に陥らず、じっくり取り組むことだと思う

夏、どうなるかわからない不安もあるが、楽しみでもある。
ブログを書いている暇もないかもしれないが・・・。

そういえば、今日はこどもの日である。


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職業:
経営コンサルタント
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旅行、ジャズ鑑賞
自己紹介:
世の中を素直に見ることが苦手な関西人。
MITスローン校でのMBA、プライベート・エクイティでのインターン、アパレル会社SloanGearの経営、そして米国での生活から、何を感じ、何を学ぶのかー。

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