久しぶりに、ここに書く。
最後に書いてから2週間ほどのちに大震災が起きた。
その後、世の中の空気が一変し、政治的・経済的混迷があり、一方で自分自身には、非常にやりがいはあるがチャレンジングな仕事が入った。
意味のあることを落ち着いて考える精神的・時間的余裕がなかった、というのが正直なところであろう。
ブランクのあと、何から書くべきか、考えなくもなかったが、妙案もなく、ともすれば新聞社説のような時事批判になりそうで、敢えて全くそうした色彩のないことを書く。
鈴木のりたけ氏という、絵本作家がいる。
グラフィックデザイナーをされていたが、「しごとば」という絵本が大ヒットし、一躍人気絵本作家として注目され、活躍されている。
「続」「続々」と3部まで発行されている同シリーズであるが、文字通り、さまざまな仕事について、子ども向けだからと妥協せずにかなり現場に突っ込んで、しかも子どもが感じそうな素朴な疑問を抑えつつかかれてあり、大人が読んでも十分面白い。特に第一作目となった「しごとば」で取り上げられている新幹線運転士のくだりは秀逸である。
それもそのはず、鈴木氏はかつて、短期間ながら、東海道新幹線の運転士をされていた。
しかもそのとき、私も彼と同じ職場で、一緒に運転士をしていた。つまり、わずか数年間ではあるが、彼と私は同期入社の同僚であった。運転士を「卒業」した後も、二人とも鉄道以外の関連事業を統括する部署に配属になり、ともに名古屋で働いていたこともある。
その後、私は思うところあって退職し、今のコンサルタントという職業に就いたが、彼はそれよりも1年ほど前に退職し、グラフィックデザイナーに転じている。私自身は、当時の仕事に疑問を感じつつも、まだキャリアについて明確な意思決定をしていなかったころに、まるで電車でも乗り換えるような潔さで職を転じた彼の決意は、衝撃的であったことを覚えている。それから6-7年が経ち、私が米国に留学している頃、鈴木氏は人気絵本作家としてブレークされる。10年前、二人が新幹線を運転していた頃は、我々自身を含めて、恐らく誰も想像していなかった展開ではなかろうか。
次の10年後どうなるか、これまたお互いわからないが、プロの絵本作家としての彼の活躍に負けないよう、私もプロの端くれとして頑張ります。
MITスローン校でのMBA、プライベート・エクイティでのインターン、アパレル会社SloanGearの経営、そして米国での生活から、何を感じ、何を学ぶのかー。
ご意見、ご感想は↓まで
sloangear★gmail.com
★をアットマークに書き換えてください