ニオイというのは、目や耳を通じて得られる情報よりも、より直感的に脳を刺激するようだ。
そして、会社にはニオイがある。
「何か怪しい…」
というような、「雰囲気」を意味するニオイではなく、本当に物理的なニオイだ。
今日訪れた会社も、ある種のニオイを感じた。
スローンでは、コア課程6教科のひとつである「組織プロセス」という科目の中心課題として、授業で習う分析の枠組みを使って、実際の企業の組織変革を分析する、というチームプロジェクトを課している。題材となる企業は自分たちで見つけてこなければならず、また文献等の二次情報を使って間接的に調べるのではなく、当該企業と機密保持契約を結んで、インタビュー等で得られる一次情報を中心に事象を分析しなければならない。
我々のチームでは、チームメートの一人の伝手で、ボストン近郊のソフトウェアベンチャー企業を「クライアント」にすることができた。そして今日はそのプロジェクトの具体的な焦点や進め方について話し合うために、チームメート2人とともに、初めてその会社を訪問した。
ニオイは、どんな情報よりも先に入ってくる。
その会社の社員の顔や製品を見るよりも、どんな話を聞くよりも早い。
この会社のニオイは、以前私がコンサルティングを担当した米国の企業と、驚くほど似ていた。
そしてその後およそ1時間半ミーティングを通じて得られた情報からは、これら2社には様々な共通点があった。例えば:
- 創業者は技術者
- 業界内でもユニークな技術を有し、自社の技術力にはかなり自信
- ニッチな業界でシェア第一位
- 機能別組織をしいており、お互い他の部門が何をしているかはよく分かっていない
- マーケティング部門を中心に高学歴者を有する
もちろんこうした特徴に当てはまる米国の会社を集めてきたら、すべて同じニオイがする、というわけではないだろうが、それでも偶然で片付けられる以上の「何か」がありそうである。
ちなみにこのチームプロジェクト、私がリーダーを務めることになった。
コンサルティングの仕事の進め方が癖になっているので、最初に仮説を書いてしまって、それを検証する流れでやろうと思っていたが、同時にそうした進め方がチームメートに受け入れられるかは大いに疑問があった。
ましてや、その仮説を得るに至った根拠が「ニオイ」だ、などと言ったら、まったく信用を失うだろう。
そういうわけで、この考察について言及するのは、この日本語の文章のみにとどめておく。
MITスローン校でのMBA、プライベート・エクイティでのインターン、アパレル会社SloanGearの経営、そして米国での生活から、何を感じ、何を学ぶのかー。
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