「 100k submit ...目が点 」
MITのEntrepreneurs Competition、通称"100K"は、今日の17時がsemi finalistの提案書提出締切である。
恐ろしいことに、前日夜の段階で、まだ価格も売上も、当然ながら利益も固まっていない。
キャッシュフローが見えないので、いくら投資を募ればよいのかもわからない。
我らがリーダーのチリ人は、そんな状況の中、チームのロゴを作ったり、「独創的」なことに時間を使っている。
というわけで、今日は腹を括って早朝から自宅で100Kのシナリオ、レポート作りに専念した。
エクセルで財務諸表のモデルを作って、ビジネスモデルや価格体系、成長スピードのオプションなど、チームメンバーが語る定性的な情報を数字に落としてシミュレーションし、妥当なシナリオを導き出す。久しぶりに、仕事をしているようなモードになり、最近にない集中力で作業ができた。パソコンに向かいながら、赤ん坊をあやしたり、昼飯を食ったりしていたようだが、よく覚えていないほどである。
13時半頃、数字とシナリオが固まったので、同じ寮に住むそのチリ人のリーダーを呼んで説明する。いくつか議論をして変更点を相互に確認し、数字の修正、レポート作成と進め、16時には自分のパートを終えた。あとはリーダーがもう一人のメンバーの原稿も含めて統合、調整し、17時前に提出するだけである。
なんとなく、一仕事終えたような充実感を覚えつつ、1時間ほど学校で別のミーティングに出て帰宅した。
夜、リーダーから、感謝の言葉とともに、提出した提案書のコピーが送られてきていた。
そしてそれを開いて、愕然とした。
レポートの最初に掲げられた1ページ半ほどの要旨に、$マークが一切見当たらないのである。売上、コスト、利益、投資額、市場規模、価格、利益率、成長率、何もない。
こんなビジネスプランがあっていいのか!と頭を抱える。
抑えきれずにリーダーに掛け合うと、「ああ、すまない、君の言うとおりだ。せっかく君が考えてくれた数字を使わなかったのは申し訳ないな」という。
私が言いたかったのは、自分の作業が踏まえられなかったとか、そういう次元の問題ではなく、投資家(100Kの審査員はプロのVenture Capitalist)にみせる提案書に金額が一切ないというのはありえないだろう、というポイントである。
そこをもう一度強調し、「君が投資家で、提案書を受け取ったら、何が一番最初に気になる?いくら儲かるか、とかみたくないか?」と聞いてみた。当然「そのとおりだ」という答えを期待している。
しかし、一瞬の沈黙のあとに返ってきた答えはそうではなかった。
「うーん、僕だったら、その事業は面白そうかどうか、が知りたいなあ」
ハンマーで頭を殴られた気分であった。どちらが正しいとか、そういう次元を超越した、根本的な住む世界の違いを感じた。
もう、何も言うまい。
最後に、私が価格設定に頭を悩ませていたときにリーダーが作ったサービスのデモサイトを掲載しておく。
http://www.gemeni.mobi/home
恐ろしいことに、前日夜の段階で、まだ価格も売上も、当然ながら利益も固まっていない。
キャッシュフローが見えないので、いくら投資を募ればよいのかもわからない。
我らがリーダーのチリ人は、そんな状況の中、チームのロゴを作ったり、「独創的」なことに時間を使っている。
というわけで、今日は腹を括って早朝から自宅で100Kのシナリオ、レポート作りに専念した。
エクセルで財務諸表のモデルを作って、ビジネスモデルや価格体系、成長スピードのオプションなど、チームメンバーが語る定性的な情報を数字に落としてシミュレーションし、妥当なシナリオを導き出す。久しぶりに、仕事をしているようなモードになり、最近にない集中力で作業ができた。パソコンに向かいながら、赤ん坊をあやしたり、昼飯を食ったりしていたようだが、よく覚えていないほどである。
13時半頃、数字とシナリオが固まったので、同じ寮に住むそのチリ人のリーダーを呼んで説明する。いくつか議論をして変更点を相互に確認し、数字の修正、レポート作成と進め、16時には自分のパートを終えた。あとはリーダーがもう一人のメンバーの原稿も含めて統合、調整し、17時前に提出するだけである。
なんとなく、一仕事終えたような充実感を覚えつつ、1時間ほど学校で別のミーティングに出て帰宅した。
夜、リーダーから、感謝の言葉とともに、提出した提案書のコピーが送られてきていた。
そしてそれを開いて、愕然とした。
レポートの最初に掲げられた1ページ半ほどの要旨に、$マークが一切見当たらないのである。売上、コスト、利益、投資額、市場規模、価格、利益率、成長率、何もない。
こんなビジネスプランがあっていいのか!と頭を抱える。
抑えきれずにリーダーに掛け合うと、「ああ、すまない、君の言うとおりだ。せっかく君が考えてくれた数字を使わなかったのは申し訳ないな」という。
私が言いたかったのは、自分の作業が踏まえられなかったとか、そういう次元の問題ではなく、投資家(100Kの審査員はプロのVenture Capitalist)にみせる提案書に金額が一切ないというのはありえないだろう、というポイントである。
そこをもう一度強調し、「君が投資家で、提案書を受け取ったら、何が一番最初に気になる?いくら儲かるか、とかみたくないか?」と聞いてみた。当然「そのとおりだ」という答えを期待している。
しかし、一瞬の沈黙のあとに返ってきた答えはそうではなかった。
「うーん、僕だったら、その事業は面白そうかどうか、が知りたいなあ」
ハンマーで頭を殴られた気分であった。どちらが正しいとか、そういう次元を超越した、根本的な住む世界の違いを感じた。
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職業:
経営コンサルタント
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世の中を素直に見ることが苦手な関西人。
MITスローン校でのMBA、プライベート・エクイティでのインターン、アパレル会社SloanGearの経営、そして米国での生活から、何を感じ、何を学ぶのかー。
ご意見、ご感想は↓まで
sloangear★gmail.com
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