中間試験が終わって一段落したところで、同じ学生寮Westgateに住むトルコ人のED君から、自宅にお茶を飲みに来ないか、というお誘いをいただき、夕食後に家族3人で出かける。トルコ人は宗教上あまり酒を飲まず、ED君夫妻もまったく飲まないので、お茶でのお招きとなる。
同じ寮に住むスローンの同級生に順番に声をかけているようで、この日招かれたのは別のトルコ人AK君夫妻、アゼルバイジャン人のEM君家族、そしてドイツ人で私と同じコンサルティングファームから来ているRB君家族に我々を加えた4家族。
トルコの紅茶と餅のようなトルコ菓子、そしてトルココーヒーとチョコレートを振舞われながら、2時間ちょっと談笑する。授業のこと、就職のこと、家族のこと、国際情勢、米国への愚痴など、話題はあちこちに飛ぶが、非常にアットホームで楽しい時間を過ごさせてもらった。
こうした非米国人の集まりであれば、皆適度に英語が流暢でないので、奥様方も会話がしやすい。
また、子供にも多彩な文化環境に触れさせてやることができる。
寮に住んでいることの最大のメリットの一つである。
(この日のED君の部屋は、空調の不具合か異様な熱気で、写真の娘(右)は大汗をかいていた)
まだ娘は人前では緊張して硬くなってしまい、なかなか会話どころではないが、この日のように長く一定のメンバーで過ごさせてもらうと、環境に適応してハシャギ始めるので、見ていても微笑ましい。
できるだけこういう機会に参加させて、刺激を与えてやりたいと思う。
スローン1年目秋学期の中間試験は、前述のように日が分散しているため、今日をもって全試験終了というわけにはいかず、実はあと二科目残っているのだが、まあ一段落、という気持ちにはなる。
これまでの戦績は当初の予想通り、統計と会計はまあまあで、ミクロ経済学がちょっとしんどい、というところか(最初からわかっているのなら勉強しろよ、というお叱りは甘んじて受ける)。
というわけで、午前8時半からのミクロ経済学の試験終了後、クラスメートとpubに集まって乾杯した。
当然、まだ朝である。どこの飲み屋もやっているわけではない。
が、MITキャンパス内にあるMuddy Charlesというpubはこの手の「季節行事」に慣れているようで、何名かのクラスメートが予め相談に行くと、10時半に店をあけることを承知してくれていた(もっとも、普段から11時50分には店をあけて学生に酒を出しているという、ある意味とんでもない店なのだが…)。
何のツマミもなしに、ひたすらビールを飲む。しゃべる。こういうのが、米国人学生のスタイルなのか、彼らはこうなると本当によくしゃべるし、よく飲む。次々と、ピッチャーが空になっていく。付き合っていると、逆立ちしても彼らほどしゃべれないので、相対的に飲む量が増える。そして、より酔う。
こりゃかなわん、ということで、1時間ほどで退散し、チームメートAR君、日本人学生HW君とともに、ランチに行く。
天気も良いので、ワゴン車で売りに来ているランチボックスを買って芝生の上で食べ、眠気覚ましのコーヒーを買ってStata Centerの大階段(写真中央下の擂鉢状の階段)で日光浴をしながら飲む。その後は2時半の授業まで、その階段に仰向けになって昼寝。
なんとも学生らしい奔放な時間の過ごし方で、非常に心地良い。なにより、昼間から赤ら顔でここまでやっても誰も気にしないところが、流石米国である。この後2時半から出た組織プロセスの授業は、クラスの半分が睡魔と格闘するテイタラクであったが(米国人の学生は通常、授業やミーティングで居眠りすることはほとんどない)、教授も大目にみてくれていた。
また明日から、ちゃんとします。
と言ってしまえばそれまでだが、とくに男性にとっては、出産に至る一連のプロセスは、一度体験してみないと想像には難い。逆に一度体験すると、それをもとに様々な解釈や想像が働く。
妻は現在妊娠8ヶ月である。お腹にいるのは、恐らく我々の次女となるであろう赤ん坊だ。
MITはスローン校舎から程近いところにMIT Medicalという緊急対応設備も備えた医療施設を併設しており、産婦人科(Obstetrics & Gynecology、略してOBGYN)もある。米国に来てから、妻はそこで定期検診を受けている。今日も統計の試験の後、今月の検診にそこを訪れた。
かかりつけの医師は、ベトナム系米国人の女性で、非常に物腰の柔らかい人である。きちんと物事を説明してくれるし、良くしてくれていると思っている。それでも、米国の検診のあっけなさには、当初少々戸惑った。日本では当たり前な超音波撮影も、内診もない。腹のサイズを測り、心音を聞き、問診をして終わりである。赤ん坊の成長についての情報は、検診前も検診後もほとんど変わらない。
しかし、不思議なもので、赤ん坊の成長は確かに感じる。
長女のときは、病院で超音波の映像を見せてもらったり、写真をもらったり、身体のどの部分がどうなっているかを詳細に説明してもらったりしたが、それでもいまひとつピンと来なかった。理性では自分の子供が成長しているという情報を理解していたが、現実感がなかった。
それが今回は、ほとんどそうした「リアルな」情報はない一方で、妻の腹がどうなって、「何」に近づいていっているかが、具体的ではないながらも感じることができる。
すべては、一度経験したことだからであろう。
人間の想像力など、そんなものなのかもしれない、と思う。
そして、出産が長女のときと同様に無事であれば、と願う。
明日から秋学期の中間試験である。
中間試験…。
10年以上使っていない単語である。日本語で書くと尚更そう思う。
科目によって時期がずれるため、通常の授業の合間を縫うように変則的なスケジュールが組まれており、今週は統計、会計、ミクロ経済学の三科目のみ。金融は2週間後にあり、更にその2週間後に組織プロセスの試験がある。
試験とはいっても、ビジネススクールはあくまで実践的な知識・スキルの修得を目的としているので、試験のスタイルも日本の中学・高校でみられる暗記主体のそれとは異なる。比較的論述問題が多く、過去数年間の試験問題はウェブで公開され、科目にもよるが公式等を書いた紙の持ち込みも許されている。特に公式の多い統計学などは、この紙(多少の皮肉を込めてか、Cheat Sheetと呼ばれる)が学校から正式に提供され、それを使わなくてはならないが、それ以外の科目(具体的には会計や金融)では学生が決められた紙幅(今回はA4一枚、両面可)に収まるように工夫して作る。この作業自体に学習効果があるようで、モヤモヤとしていた半期分の学習内容が整理されて頭に入ってくる(恥ずかしながら、英語で教わった内容はなかなか頭に整理されて残らない)。
とはいえ、受験勉強に対する集中力・持続力は驚くほど落ちていて、いわゆる一夜漬けがままならない。特に論述が多く理論の正確な理解が重要なミクロ経済学は、同科目がCheat Sheetの持込を禁じていることもあり、かなり不安が残る。
まずは明日の統計の試験で幸先の良いスタートを切り、あとに繋げたい。
一向に上手くならないので、自分でも嫌になるし、恥ずかしくもあるが、やれば爽快である。
スローンにも、MITのサッカー部とは別に、ビジネススクールの学生だけによるサッカー部があり、HBSその他ボストン地区のビジネススクールを中心とした学生と対外試合もしている。毎週金曜日に行われるその定期練習に、今日始めて参加した。
練習はMITのグラウンドで行われる。グラウンドはサッカーのフルコートが4面ほど取れる広さで、一面芝が植えられていて素晴らしい。私の住むWestgateのすぐ隣にあるのもありがたい。毎日その脇を通って通学していたが、足を踏み入れるとその素晴らしさをより強く感じる。
皆それなりに技術レベルが高く、何より体力があって、ついていくのに必死だが、やはりボールを追うのは面白い。日本人(あるいはアジア人)は私だけで、あとは南米人が多く、他に米国人、イタリア人、ウクライナ人などが参加している。南米やイタリアの連中には、名前だけで負けてしまいそうだが(メンバーの一人に「リカルジーニョと呼んでくれ」と言われたときには、場違いが過ぎたかと思った)、確かに上手い。判断が
早く、プレッシャーが厳しい。なかなかボールに障れない。
授業の関係もあり、また午前中雨だったためか、最初は練習に参加している人数が少なかったが、その数も次第に増え、20人を越えてからはフルコートサイズでの紅白戦となった。日本ではこのところフットサルしかやっていなかったので、随分と広く感じる。走り出すと、その広さは尚更痛感される。ボールも人も、遠い。老体に鞭打って走る気分である。40歳の三浦知良の偉大さを思い知った。
満足のいくプレーができないまま2時間の練習を終えたが、身体は心地よく消耗していた。毎週続ければ、もう少しマシな動きになるだろうか…。
MITスローン校でのMBA、プライベート・エクイティでのインターン、アパレル会社SloanGearの経営、そして米国での生活から、何を感じ、何を学ぶのかー。
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